YEARBOOK2018気鋭歯科医師が歯を残す・守る
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PART 1はじめに “The main goal of periodontal treatment is the re-tention of as many teeth as possible in health, func-tion and comfort”(歯周治療のゴールは,快適に,また健康に機能する天然歯をできる限り多く残すことである)(Hirschfeld and Wasserman 1978)1. 歯周治療のゴールはこの先人の言葉にはっきりと表されている.さらに,この言葉のなかでの“歯周治療”を“歯内療法”と置き換えても通用するだろう. 天然歯をできる限り残すことは,歯科医師の本分であり,また患者の望みでもある.そして,その技術の中心になるのは,歯周治療と歯内療法である.それを可能にする数々のイノベーションが,過去20年にわたり歯周治療,歯内療法の分野で起こってきた.まずは,CBCTの導入が,両分野における確実な診断を可能にした.ペリオの分野では,何より歯周組織再生療法の発展と定着,そのなかでも成長因子製剤の応用,それらをマイクロスコープやルーペなど拡大視野で行うこと,さらにはレーザーなどの補助的療法の導入も議論されている. 歯内療法の分野では,マイクロスコープの使用がエンドの世界を大きく変えた.すでに拡大視野下での歯内療法はグローバルスタンダードとなり,さらにMTAといった薬剤,NiTiファイルといった器材の導入など,こちらもペリオ以上のイノベーションが過去20年にあった.筆者が歯科医師になった1980年代に比較すると隔世の感があり,それらのさまざまなイノベーションは,すべて天然歯保存のために寄与している.二階堂雅彦東京都開業 二階堂歯科医院連絡先:〒103-0027 東京都中央区日本橋3-5-12 日本橋MMビル4F天然歯をできる限り残すことが歯科医師の本分1【略歴】1981年 東京歯科大学卒業1981〜84年 同歯科麻酔学教室1997年 米国タフツ大学歯学部歯周病学大学院修了,米国歯周治療専門医2000年 中央区日本橋に二階堂歯科医院を移転,開業2003年 米国歯周病学ボード認定医,日本臨床歯周病学会指導医2006年 EPIC研修会,設立2006年〜東京歯科大学水道橋病院臨床教授2008年〜東京医科歯科大学歯学部歯周病学分野非常勤講師2015〜17年 特定非営利活動法人 日本臨床歯周病学会理事長【所属学会・勉強会】米国歯周病学会,日本臨床歯周病学会,日本歯周病学会,歯周病勉強会主宰10別冊the Quintessence 「YEARBOOK 2018」

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