YEARBOOK2018気鋭歯科医師が歯を残す・守る
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1 天然歯をできる限り残すことが歯科医師の本分歯周治療分野の“軌跡”と“奇跡” ここからは,筆者が専門とする歯周治療の分野に話を絞って解説したい. 筆者が歯周治療に本格的に携わってから20年あまりが経過した.その軌跡のなかで,数々の「奇跡」を見てきた.「奇跡」というのは言い過ぎかもしれないが,従来の常識では“hopeless”と考えられた歯が,図1c,d フラップを挙上すると頬側の骨が根尖まで失われていたばかりか,口蓋側の骨も一部失われていた.図1e,f 2年後のリエントリー.口蓋側の骨には再生が見られ,この時点では動揺は収束,ポケットも4mmになった.図1g,h 初診時より19年後.いまだに問題なく機能している.図1a,b 1998年,₃のアブセスを主訴として来院.15mmの歯周ポケットと2度の動揺が認められた.症例1:EMDを用いた再生療法を行った症例図1a図1b図1c図1d図1e図1f図1g図1h長年にわたり機能していることを見てきたのである.以下に,3症例を通じてみていきたい.症例1:EMDを用いた再生療法を行った症例 初診時,上顎犬歯にアブセスを形成し来院.15mmの歯周ポケットと2度の動揺,エックス線写真では根尖に至る透過像が認められた.フラップを挙上すると,頬側の骨が失われていたばかりか,口別冊the Quintessence 「YEARBOOK 2018」11

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