生涯歯を残せる時代の5つのスキル
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第1章 歯科疾患の掌握111 歯科疾患の特徴 歯科疾患は次の5つの病態に分類できる。①歯の病変 この代表はう蝕。解剖学的には、エナメル質、象牙質、歯根、歯髄・根管の病変に細分できる。②歯周組織の病変 主に歯周病。歯槽骨吸収度や支持組織の喪失度に応じて進行度を分類できる。③欠損 大半はう蝕病変、歯周病病変の終末として欠損となる。頻度は低いがそのほかの発生原因として、外傷、歯の破折、先天性欠如もある。④歯列・咬合障害 歯列不正と咬合機能異常に分類できる。⑤骨・軟組織病変 粘膜と顎骨の病変であるが、良性病変と悪性腫瘍に分類すると理解しやすい。 周知のとおり、①の「う蝕」と②の「歯周病」が歯科の二大疾患となる。歯の寿命を維持するためには、これらの発症予防、および仮に罹患していてもその進行予防が歯科医師の任務となる。また、仮に欠損となった場合も、欠損のさらなる拡大防止が重要である。そのためには、歯科疾患の特徴や、欠損が歯列や口腔内に及ぼす影響を正しく理解するとともに、患者に正しく説明できるようになる必要がある。病態分類の一覧分類 病態主な病変維持目標・回復目標①う蝕エナメル質・象牙質病変一次う蝕・二次う蝕・修復物破損・知覚過敏脱灰(-)、歯髄保存歯根/根管病変歯髄炎・根尖性歯周炎・歯根破折・根管治療後の再感染根尖病巣(-)、歯根破折(-)②歯周病歯肉炎・軽度歯周炎歯槽骨喪失1/3以内の歯周炎歯周支持組織喪失(-)中等度・重度歯周炎歯槽骨喪失1/2以上、分岐部病変、咬合機能障害歯周支持組織の喪失停止③欠損少数歯欠損1歯欠損・Eichner B1までの欠損咬合支持数回復多数歯欠損無歯顎・すれ違い咬合・咬合高径低下咬合機能回復、顎骨吸収停止④歯列・咬合障害歯列不正叢生・上顎前突・下顎前突・開咬・埋伏歯・顎変形症個性正常咬合、う蝕・歯周病・咬合リスクを高めない歯列咬合機能異常顎関節症・咬合習癖咬合性外傷(-)、正常な顎運動⑤骨・軟組織病変粘膜病変・顎骨病変良性腫瘍・嚢胞・細菌/ウイルス性粘膜病変・顎骨炎・外傷病変消失、再発防止悪性腫瘍口腔がん早期発見・治療、機能回復、審美回復正しく知ろう! 歯科疾患の病態分類1

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