成人~高齢者向け 咀嚼機能アップBOOK
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PART 2-2 咀嚼機能評価① グミゼリーを用いた咀嚼能率測定法とその活用全量グミ咀嚼能率 5,365m㎡咀嚼能率スコア 88年間使用してきた上下顎全部床義歯は臼歯部の咬耗が進み、咬合高径の低下も認められた(a)。しかし患者さんは、床下に粉薬が入ったり左側の義歯床研磨面に食べものが付着する以外に「日常の食事に困っていない」とのこと。ところが咀嚼グミで咀嚼能率測定を行うと、全量グミでスコア0(咀嚼能率239m㎡)とまったく咬断できず、半量グミでスコア3(咀嚼能率1,178m㎡)との結果であった。患者さんに結果を示すと、ようやく義歯新製の同意が得られた。新義歯(b)は前歯部で7mm咬合挙上したが、患者さんはすぐに慣れることができた。義歯調整終了時に再測定すると、全量グミでスコア3(咀嚼能率2,529m㎡)、半量グミでスコア6(咀嚼能率2,808m㎡)と改善した。図11 有床義歯治療における咀嚼能率評価の実例義歯や天然歯の著しい咬耗と咬合高径低下による咀嚼機能低下が疑われる症例に対し、咀嚼グミを用いて客観的な測定を行い、患者さんの治療への協力や納得感が得られた例です(咀嚼能率は全自動法、咀嚼能率スコアはスコア法で測定)。上顎は天然歯列、下顎は両側遊離端義歯を装着していたが次第に咬耗が進み、5が歯根破折するなど咬合崩壊のスピートが上がっていた(a)。それでも患者さん自身は噛みにくいと感じておらず、咀嚼能率測定では全量グミでスコア5(咀嚼能率3,340m㎡)であった。ただこのままだといずれ義歯と咬合が崩壊してしまうため、義歯の新製とした。上顎欠損部の補綴スペースを確保するとともに前歯部の審美性を回復するため、前歯部を4mm咬合挙上した上顎部分床義歯を新製・装着したところ(b)、咀嚼能率は全量グミでスコア8(咀嚼能率5,365m㎡)に増加した。症例1:85歳男性症例2:75歳男性a:旧義歯a:旧義歯b:新義歯b:新義歯臼歯部の咬耗全量グミ咀嚼能率 239m㎡咀嚼能率スコア 0半量グミ咀嚼能率 1,178m㎡咀嚼能率スコア 3全量グミ咀嚼能率 3,340m㎡咀嚼能率スコア 5全量グミ咀嚼能率 2,529m㎡咀嚼能率スコア 3半量グミ咀嚼能率 2,808m㎡咀嚼能率スコア 661

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