スペシャリストたちに学ぶ インプラントのための骨増生
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シンポジウム1現在、GBRにおいて選択すべきマテリアルの考察宇毛 玲 Akira Uke (東京都開業)1992年 明海大学歯学部卒業2005年 ウケデンタルオフィス 開業東京SJCD会員、EAO会員、OJ正会員緒言 1959年、Hurleyらにより脊髄の癒合を治療する目的でGBRの原理の提唱1)がされて以来、それを実用化するために歯科領域においてはさまざまな材料が開発された。現在検討されるGBRの材料を分類したものを図1に提示する。GBRの原理に基づいて材料を検討した場合、新生骨の形成の障害となる軟組織の内部増殖を抑制するためのバリアとしての吸収性メンブレンと非吸収性メンブレンがあり、その内部において骨の再生を促進させるために骨伝導能、誘導能、増殖能などを有する材料を設置する。それらには自家骨、他家骨、異種骨、代用骨がある(図1)。それらをいかに選択するかを本論文において、筆者の臨床経験とそれら材料に関連するエビデンスを踏まえて報告する。自家骨におけるブロック骨移植 欠損部に対しての増生としてGBR以外の選択肢としてブロック骨移植が挙げられる。自家骨は骨伝導能、誘導能、増殖能にすぐれているが、ブロックで用いた場合にかなりの吸収があることが証明されている2、3)。図2は水平、垂直的にブロック骨移植を行った4ヵ月後であるが、著明な吸収が生じている。このブロック骨の吸収を抑制するために、Buserらは吸収性メンブレンで自家骨をカバーする手法を報告した4)。筆者もこれにならい、非吸収性メンブレンで自家骨をカバーしたところ良好な結果を得ることができたが、やはり自家骨採取にともなう合併症、偶発症は多数報告されており5、6)、筆者の臨床においても患者がGBRを拒否しない限りはブロック骨移植は行わず、自家骨採取に際しては最小にしてなるべく低侵襲を心がけている。バリアメンブレン(高分子膜) ポリグルコライドやポリラクタイドなどを主成分としている。これら高分子膜は分解するときの異物反応により炎症が惹起し骨が再生しないことが過去に報告されているが7、8)、近年の報告によればポリグリコール酸とトリメチルカーボネートとの共重合体を成分としているものはそれが改善されており9)、2011年にもUrbanらも近年の高分子膜は水平的な骨再生に有効であると主張している10)。 クロスリンクコラーゲンメンブレン クロスリンクコラーゲンメンブレンは薬品やさまざまな手図1 現在、検討されるGBRのための材料。吸収性メンブレン・Synthetic・コラーゲン・クロスリンクコラーゲン非吸収性メンブレン・d-PTFE・チタンメッシュ・ハニカムメンブレン自家骨(ブロック、チップ)他家骨(FDBA、DFDBA)異種骨(Bio-Oss)代用骨(HA、β-TCP)10

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