スペシャリストたちに学ぶ インプラントのための骨増生
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宇毛 玲現在、GBRにおいて選択すべきマテリアルの考察法によりメンブレンの吸収速度を延長し、メンブレンのバリア効果を持続させ骨再生の促進を狙ったものであるが、軟組織とのインテグレーションや生体親和性が劣り脈管系の再生も悪く11)、一度露出するとかなりの量の骨を喪失するという報告がある12)。しかし、筆者の臨床感においては際立ってメンブレンが露出しやすいとか再生骨が獲得できなかったという経験はない(図3-a、b)。コラーゲンメンブレン 動物由来のコラーゲンメンブレンは長期にわたり研究され、軟組織とのインテグレーションや脈管系の再生も良好である13)。しかし、筆者の臨床経験においては水平的骨増生においても非吸収性メンブレンと比較した場合には、非吸収性メンブレンのほうが骨増生が可能であると認識していたが、後のUrbanらの報告10)によりその認識を改めた(図4-a〜f)。ソーセージテクニック 2011年、Urbanらはソーセージテクニックを用いて4〜6ヵ月残留する高分子膜と自家骨細片とABBMを1:1の比率で混合し水平的に平均5.56mmの骨増生を獲得した10)。2013年には約6週間で吸収するコラーゲンメンブレンと自家骨細片とABBMを1:1の比率で混合し同じくソーセージテクニックを行ったところ、水平的に平均5.68mmの骨増生を獲得した14)。この2つのリサーチの結論として、遅延型メンブレンは水平的骨増生に必要でない可能性を示唆した15)。筆者の臨床感として、ソーセージテクニックを使用することによりインプラント埋入に適する骨が獲得可能であり、仮にメンブレンが露出しても早期に吸収することにより感染が拡大しないことは大きな利点であるが、非吸収性メンブレンと比較した場合に移植材料の吸収が多く、予定している増生量よりもオーバーコレクションする必要がある。また外科手技に関しては、テクニックセンシティブである非吸収性メンブレンに適用するフラップデザイン、減張切開、縫合が必要であり、加えてメンブレンを固定するボーンタックの扱いには図3-a クロスリンクコラーゲンメンブレンでチタンメッシュを被覆した。図3-b 6ヵ月後の二次手術時。クロスリンクコラーゲンメンブレンにはほとんど吸収を認めず、高いバリア効果が認められる。図2-a 移植後のフラップの裂開を防ぐために歯槽頂切開を入れず、上顎右側中切歯近心歯槽頂部から唇側にかけて縦切開を入れ、上顎左側犬歯部まで剥離した。図2-b 水平・垂直的に歯槽骨の吸収が認められたのでブロック骨を歯槽頂部、唇側部に移植固定した。図2-c 移植後4ヵ月、著しい移植骨の吸収が認められる。ab11

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