スペシャリストたちに学ぶ インプラントのための骨増生
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北島 一骨欠損形態と部位に応じたGBR 術式の選択裂開や水平的骨吸収に対する外側性の増大 吸収性メンブレンは多くの利点を持ち、非吸収性のメンブレンに代わり使用する機会が多くなってきているが、吸収性メンブレンには欠点もある。特に形態維持が不確実となる点に対しては、ピンやスクリューによるメンブレンの固定を行ったり、チタンメッシュを併用することでその欠点を補う試みがなされている(表1)1)。 内側性の裂開状骨欠損では骨移植と吸収性メンブレンを置くだけで十分解決できると思われるが(図1-a〜c)、メンブレンをスクリューによって固定し、移植骨を保持し安定させることで内側性だけでなく外側への組織の増大もできていることがわかる(図1-d〜f)。また、図2-a〜fのようにスクリューやピンを使わずに骨膜をポケット状に形成する方法3)表1 吸収性メンブレンの利点と欠点利点メンブレンの除去が不要再生骨の露出を避けられる二次手術の際に軟組織へのさまざまな外科オプションが可能コストダウン患者の苦痛の軽減組織との親和性が高い早期の血管新生が期待できる異物反応もなく分解される合併症率が低い粘膜裂開時にも自然治癒する欠点適切な期間、バリア機能を維持するのが困難ネイティブコラーゲンの分解時間はその由来や構造によって相違があるメンブレンの吸収過程が創傷治癒や骨形成を阻害する可能性がある早期のメンブレンの分解吸収はバリア機能を早期に喪失させる術後の組織収縮を免れない増大した組織形態の維持が不確実であるため、メンブレンを支持する材料の追加が必要となる↓・固定用スクリュー、ボーンタックを用いて固定する・チタンメッシュ+吸収性メンブレンを用いる図2-a 骨膜をポケット状に形成し骨膜のポケット内に移植骨を填入する。図2-b ₆₅部にインプラントを埋入後、頬側の骨の厚さが不足している状態。頬側フラップを部分層で形成し、骨膜を全層弁で剥離してポケット状の空間をつくる。図2-c 頬側の骨膜フラップの内面に吸収性メンブレンを設置し、その内側に骨移植を行った。図2-d 骨膜フラップと舌側のフラップとの縫合。図2-e 二次手術時、部分層弁形成後の状態。bと比較して頬側のボリュームが増大している。図2-f カバースクリューを除去するとインプラントの外側への組織増大が観察された。37

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