スペシャリストたちに学ぶ インプラントのための骨増生
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野阪泰弘トラブル症例から学ぶ、安全なサイナスフロアエレベーション図3 サイナスリフト後1週、上顎洞粘膜は243側(100%)で腫脹していた。腫脹の程度を3タイプに分類したが、術後3ヵ月では97%の症例で上顎洞粘膜の腫脹は自然に消退していた。図2-a〜c 正常な上顎洞粘膜は、術前のCT画像では確認できない(a)。一方、術直後のCT画像では収縮した上顎洞粘膜がライン状の陰影として認められる(b;黄矢印)。文献では、剥離された骨膜と上顎洞粘膜が波状に描写されている(c;赤矢印)。図4 術後1週にType 3の上顎洞粘膜腫脹が生じ、ウィンドウ部を介してβ-TCP顆粒が頬側に溢出している(黄矢印)。術後1年のCT画像では、溢出したβ-TCP顆粒に一致するボリュームでサイナスリフト部に目減りが認められる。図5-a〜c 他院にてサイナスリフト、GBRおよびインプラント体の埋入を同時に施行した。創の哆開と排膿が認められたため、術後3週に紹介され来院した(a、b)。初診時のCT画像では、ウィンドウ部を介して人工骨が頬側に溢出していた(c;黄矢印)。↓3.術後の上顎洞粘膜腫脹により人工骨は移動する 術後1週に生じる上顎洞粘膜の腫脹により、サイナスリフト部に填入した人工骨が移動し、ウィンドウ部から頬側に人工骨が溢出する場合がある(図4)。人工骨が多量に溢出した場合、サイナスリフト部の体積が減少し、インプラント体の埋入が困難になる可能性がある。さらに、溢出した人工骨によって創の哆開が起こった場合は、術後感染が生じるケースがある(図5)。したがって、チタンメッシュとマイクロスクリューでウィンドウ部を強固に閉鎖すれば、人工骨の溢出を予防することが可能と考えられる(図6)2)。術前1W1W1W3M3M3M直後直後1W1YaabcbcType11/3未満Type21/3〜2/3Type32/3以上57

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