歯科衛生士の力でここまでできる 非外科的歯周治療
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図4-36図4-37図4-39図4-38 インプラント周囲溝の大きさは可変的であり、出血の認められない2~5mmのプロービングデプスは正常範囲内であると考えられる。プロービングデプスが増加するにつれ、インプラント周辺の軟組織のマネージメントは、ホームケアだけでなく医療者側にとっても困難になってくる。インプラント周囲炎:非外科的治療アプローチ4章274くとも1mm存在する健全な歯槽骨頂線維が、プローブ先端が結合組織の奥深くまで到達するのを防止するため、この現象は起こらない(図4-2b参照)。 プローブは、インプラント周囲溝およびポケット、軟組織の異常増殖や退縮、出血の有無、滲出液や排膿の有無の評価に用いることができる41。 軽い圧のプロービングによる評価で出血がないならば、インプラント周囲における健常組織で5mmのプロービングデプスがみられることがあるかもしれない(図4-39~45)41。強固に固定され安定したインプラントはプロービングデプスが2~6mmの範囲内であることが報告されている30。インプラント体は機械加工表面または表面処理した粗面いずれの場合でも、粘膜貫通部のカラー部分は6~7mmである。5mm以上のインプラント周囲溝は、たとえそれが健常な状態であったとしても術者と患者の双方にとってメインテナンスが困難になる(図4-46)。図4-38に示すとおり、審美性のために補綴的に長い粘膜貫通部分が歯肉縁下に存在している場合、その数値は正常範囲内とはいえるものの、2~3mmのインプラント周囲溝のほうが5mm以上のものと比べると清掃はより容易である。したがって、インプラント周囲◦インプラント周囲炎の病変では、歯周病変とは対照的に、急性炎症症状や歯槽骨表面に並ぶ多量の破骨細胞が認められる(図4-36参照)。中等度または重度のインプラント周囲炎では、プローブは炎症性の結合組織中に侵入し、その先端はほぼ骨病変部にまで達する(図4-37参照)。天然歯において歯周組織の炎症を評価する場合、少な

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