GPとDHのためのぺリオドントロジー2
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ブラッシングを含むセルフケアを3週間まったく行わない実験歯肉炎口腔清掃の中止歯肉炎指数口腔清掃の再開GI球菌 桿菌球菌 桿菌グラム陰性菌が徐々に出現糸状細菌群最終的にスピロヘータが出現グラム陽性菌が先行して現れる清掃再開までは炎症は増悪し,再開すると寛解し健康状態に戻る.051015202530日数1.00.5図1 歯学部学生を中心とした関係者がブラッシングを含むセルフケアを3週間まったく行わない実験.この実験が象徴しているように,歯肉炎に導き,最初の炎症を引き起こす第一因子が細菌であることは疑いがないが,それから先,疾病が進行するかどうかを決定するのは細菌ではなく,宿主反応である(文献1より引用改変). 1965年,Loeらは歯学部学生を中心とした関係者に協力してもらい,ブラッシングを含むセルフケアを3週間まったく行わない実験をした1.結果的に,口腔清掃を中止してから10日から21日の間に全員が歯肉炎を発症した.その後,口腔清掃を開始すると歯肉炎は改善し,元の健康な状態に戻った(図1).このように,ほとんどの人は歯肉炎が起きても,その状態で留まり,感受性が高くなければ歯周炎には発展しない.口腔清掃をきちんと再開すれば状態は元の状態に戻る2,3(図2). 1976年には,Page,Shrouederらの歯周炎の病因論に関するランドマーク論文から最初のエビデンスが示された4.この論文では,歯肉炎の発達は,非特異的デンタルプラーク(特定の細菌ではなく,細菌の量)に対して歯肉組織内で非特異的炎症反応を起こすと記録されている.その歯肉炎のステージは,その順番に“開始期(initial)→初期(early)→確立期(established lesion)”と名付けられた.しかしながら,確立期(established lesion)から先は,歯周病のリスクが宿主‐パラサイト関係をさらなる組織破壊や炎症領域の拡大に傾けていかない限りは,炎症状態でも進行はしない,と鋭く指摘されていた(図3).1歯周病病因論の全体像1プラークだけでは歯周炎に発展しない12

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