GPとDHのためのぺリオドントロジー2
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2医原性プラークリテンティブファクター(1)オーバーハング修復物(2)歯肉縁下マージンの補綴装置図28 オーバーハング修復物は一般的にClass II 修復物に確認される.その発生理由として歯間部へのアクセスが十分でないことが考えられる.多くの研究によってオーバーハングをともなう歯では歯周組織のアタッチメントロスや炎症が,そうでない歯よりも多くみられるということを示している.当然プラーク形成も増長する90〜96,98,101.また細菌プラークの構成成分が健康な細菌叢から歯周病特有の細菌叢へと変化する.炎症反応への影響のみでなく,歯間部鼓形空隙や生物学的幅径を突くことによりダメージを引き起こす.アマルガムのオーバーハングは年齢に関係なく老いも若きも平等に破壊的であることが示唆されている93.ほとんどの研究において診断用ツールとしてバイトウイングを用いているが90,92,93,97〜100,早い段階で特定するためには鋭い探針といったような繊細な器具も併用することが推奨される.観察頻度を考えるとオーバーハングを除去することは歯周初期治療の一部として捉えるべきである.図29c 50歳男性.上顎前歯部マージン部の歯肉が0.5~1.0mm程度退縮している.Schätzleら106の報告によると26年間に渡ってスカンジナビア男性らを調査したところ10年後に縁下補綴グループは0.5mmのアタッチメントロスをともなっていたことがわかっている.縁下マージンの不適合は将来的にアタッチメントロスのリスクファクターとなる.図29a,b 歯肉縁下マージンは隣接する歯周組織の健康状態に直接関係する101.多くの研究で縁下マージンはそうでない補綴装置と比較して,多くのプラーク,重度歯肉炎と深い歯周ポケットと相関関係があることを示している102〜107.ab55CHAPTER 2 理解しておきたい病因論①

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