考えるぺリオドンティクス
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058Part 2a.歯周治療に必要な知識 歯周治療を行う際に必要な知識は膨大です.歯周組織の解剖学,細菌学,炎症および免疫学,診断方法(エックス線画像,CBCT画像),咬合理論,歯周基本治療,歯周外科治療,インプラント治療および歯周補綴について学ばなければなりません.すべての歯科医療に共通する予防とメインテナンスも当然必要です. しかし「○×塾」「○△セミナー」のように各治療ステップにおける「術」のコツばかり教えると,テクニックのみ依存することになり,原著論文を読んだり,自分の頭で考える習慣や批判的に考える習慣が身につかないかもしれません.「急がば回れ」と言いますが,基本的手技を学んだら,EBMを勉強し,自分の臨床を記録してアウトプットを繰り返す習慣を持つことを推奨します. また高齢者および有病者の患者が増加してきているので,全身疾患および薬の知識も必要です.MRONJやBRONJ関連の骨粗鬆症薬の長期使用者には骨外科治療は自粛するべきでしょう. 抗生物質の使用に関しては,長期使用あるいは乱用による耐性菌の出現を極力なくす努力が必要で,歯科医師による第三世代のセフェム系抗生物質の乱用が指摘されています1.患者が全身的に健康なら必要ないでしょう. 一方,高齢者や易感染性宿主に対しては感染性心内膜炎のリスクを考慮しペニシリン系かマクロライド系抗生物質を処方します.肝臓あるいは腎臓疾患のある患者に対しては抗生物質の禁忌症を確認します.ワルファリンカリウムの使用については,現在では服用させた状態で歯周治療を行います.No.11歯周治療を始める前に知っておくべきこと図11-1a~d 降圧剤服用の既往がある患者に認められる薬物依存性歯肉増殖症.図dの患者は抗てんかん薬を服用している.acbd

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