考えるぺリオドンティクス
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103歯周治療実践のための確かな治療法の選択と失敗の原因検証から採取した上皮移植片を患部に移植し,角化歯肉と付着歯肉幅と厚みを獲得し,後戻りを防ぐ効果があります. 遊離歯肉移植術のポイントは歯肉歯槽粘膜境(MGJ:Mucogingival Junction)を意図的に根尖側に移動させたのちに,口蓋から採取した基底細胞層を含んだ1mm程度の厚みの歯肉片を移植し,付着歯肉幅および角化歯肉を増大し,感染を受けにくい,つまり角化歯肉という物理的バリアーがあり,歯周ポケット周囲のプラークコントロールがしやすく血液供給の豊富な歯周軟組織を構築することです(図20-2参照).MGJを根尖側に移動することで付着歯肉を増大することも可能です(図21-1). プラークコントロールが良好であれば,付着歯肉がなくても歯周炎は進行しないとする臨床研究では,臨床研究から脱落した被験者で,口腔清掃が悪くなると付着歯肉がない部位で歯肉退縮が進行した半面,遊離歯肉移植術を行った部位では退縮が認められなかったとされてい図21-2a~c 患者は53歳の女性.慢性歯周炎である.とくに臼歯部の歯周炎は重度であった.ほかに歯列不正,医原病も多数認められた. 図a:初診時の状態.図b, c:術前のデンタルエックス線画像.12図21-2e①~④ 術前の口腔内の状態.①:頰小帯の高位付着,②:補綴物を除去した際の状態(正面観),③:同(咬合面観),④:プロビジョナル・レストレーションをセット後,下顎右側犬歯が急発した.34図21-2d①~④ CBCT画像.歯根の唇側に骨はなく舌側の骨に白線を認めた(矢印).固有歯槽骨-歯根膜が消失し,皮質骨と上皮に置換されたと推測した.1234abc

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