ゼロからわかる 小児う蝕予防の最前線
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3. う蝕の進行にはステージがあるう窩が形成されるまでには、いくつもの段階(ステージ)があります。それはつまり、ステージごとに予防のチャンスが存在するともいえます。 ミュータンスレンサ球菌は保護者の唾液を介して、日常的に乳幼児の口腔に伝播しています。伝播してもすぐに定着するわけではなく、「一次通過菌」として付着しているだけです。しかし、伝播が繰り返されると、次第に口腔内で増殖し定着するようになります。この状態を「定住菌」といいますが、定住菌の状態では病原性はなく、う蝕は発症しません。この状態の人を「健康保菌者」といいます。 「健康保菌者」が砂糖を日常的に摂取するようになると、歯面にバイオフィルムが形成され、ミュータンスレンサ球菌が「バイオフィルム菌」として固着します。この状態が感染です。感染状態が長く続くと初期う蝕が発症し、初期う蝕を放置するとう窩が生じます。ミュータンスレンサ球菌の感染と砂糖の持続的な摂取がう窩を形成することは、動物実験でも明らかになっています2)。う窩形成までのう蝕のステージ12

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