ゼロからわかる 小児う蝕予防の最前線
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3. ステファンカーブを変化させる 要因を知ろう!「あのお子さんは唾液の働きが弱い」「このお子さんは間食が多い」といった場合、ステファンカーブはどのように変化するのでしょうか。「年齢」と「フッ化物の使用状況」で「臨界pH」が決まる 脱灰と再石灰化の境目となる「臨界pH」の値は、エナメル質の耐酸性の強弱によって決まりますが、これは小児の「年齢」や「フッ化物の使用状況」などによっても上下します。 たとえば6歳では、第一大臼歯は萌出したばかりの幼若永久歯で、臨界pHは5.7~6.2と高い状態ですが、15歳くらいになると成熟するので、臨界pHは5.5~5.7に下がります。また、フッ化物によりエナメル質の耐酸性が向上した場合も、臨界pHは下がります。 当院では、「フッ化物の使用状況」を「家庭と歯科」「家庭または歯科」「時々」「なし」の4段階で評価しています。 図4-7 臨界pHが高い場合(高リスク)図4-6 臨界pHが低い場合(低リスク)ステファンカーブに影響するリスク因子をまとめると、下記のようになります。「年齢」と「フッ化物の使用状況」臨界pH「安静時プラークのpH」カーブの最高値「細菌の酸産生能」カーブの最低値「唾液緩衝能」カーブの傾き「飲食の回数」カーブの波の数(pH)6754年齢とフッ化物の使用状況安静時プラークのpH唾液緩衝能臨界pH(pH)6754臨界pH6.0脱灰15.9%脱灰38.9%再石灰化84.1%再石灰化61.1%臨界pHが高いため、1日の脱灰の割合が多い!(pH)6754臨界pHが低いため、1日の脱灰の割合が少ない!臨界pH5.5飲食の回数細菌の酸産生能※数値は「ステファナリシス」により計算86

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