Digital Dentistry YEARBOOK 2018
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31チェアサイドシステム:現在のレビューの新しい口腔内インプレッションシステムが歯科医師に利用可能となり、ここ数年で歯科用のチェアサイドシステムがいくつか導入されているが、最近の研究では、歯科医師のわずか5~15%しかデジタル印象法を使用しておらず、ほとんどの場合、従来の印象法を使用していることが明らかとなった3。デジタル印象システムの使用には多くの利点がある。いくつかの研究では、その精度は臨床領域における成功を保証するのに十分であると証明している4-7。さらに、従来の印象法では非常に時間がかかったが、デジタル機器の利用ではデータセットに対する多くの新しい処理オプションが実用化されている。これには、切削工具や補助機能、摩耗や後退測定などの解析モードが含まれる8、9。多くのソフトウェアの改良によって、これらは進歩してきた。たとえば、多くの作業ステップが完全自動化され、バックグラウンドで計算されるため、数回のマウスクリックでダイレクトミリング/グライディングのための高品質の修復物の提案をすることができる。今年のインターナショナル・デンタル・ショー(IDS 2017)では、多くのメーカーが新しく改良された歯科用チェアサイドミリングユニットを新しい歯科用材料とともに発表した。 デジタル印象法が従来の印象法に取って替わるのは時間の問題である。歯科医師は今日、次のような実際の疑問を抱く。「デジタル印象法を使用するのはいつか? それは経営戦略にとってどれくらいの意味があるのか?」。このレビュー記事は、この意思決定プロセスをサポートするための貴重な情報を提供し、チェアサイド歯科コンピュータ支援設計/コンピュータ支援製造(CAD/CAM)システムの利点と限界を説明することを目的としている。また、IDSで発表された現在販売されているすべてのチェアサイド歯科用CAD/CAMシステムを簡単に説明し、主にデジタルチェアサイドワークフローについて述べる。チェアサイドワークフローの利点 現代のチェアサイドシステムには、以下に説明するように、従来または伝統的な歯科修復のワークフローよりも大きな利点がある。リアルタイムスキャンと印象の視覚化:光学印象および歯の形成の良否は、計算されたデジタルモデルに基づいて口腔内スキャンの直後に分析することができる。ほとんどの場合、従来の印象法でのエラーは石膏模型でしか発見できず、その段階では元に戻すことはできない。簡単な再現性:デジタルモデルにエラーが含まれている場合、その部位のデジタルインプレッションを再スキャンしたり、口腔内スキャンプロセス全体を簡単に繰り返したりすることができる。これはリアルタイムで行うことができ、印象用トレーの再調整や印象材の練和と硬化は必要ない。選択的再現性:従来の印象法とは対照的に、口腔内スキャニングでは、エラーが発生した部位を選択的に繰り返すことができる(たとえば、形成マージンでの出血)。これは、問題の部位をデジタルで切り出して再スキャンすることによって容易に行うことができる。プレスキャン採得:予備的なフルアーチスキャンは、計画段階で取得できる。形成歯はプレスキャンから切り取られ、形成後に再スキャンされる。印象用トレーの清掃や消毒は不要:口腔内スキャナーは簡単に消毒できる。ディスポーザブルチップであったり、オートクレーブ可能なスキャニングチップやシングルユースでディスポーザブルのスリーブを採用しているものもある。これによって、印象用トレーを清掃し消毒するという時間のかかる作業が不要になる。支台歯形態および修復物の分析オプション:挿入軸、アンダーカット、対合歯までの距離(最小厚み)などの重要な形成および修復物のパラメータは、デジタルモデルで直接確認できる。模型の摩耗や破損がない:石膏模型とは異なり、デジタルモデルは(咬合分析中などの)摩耗や破折がなく、一定の品質で繰り返し加工できる。迅速なコミュニケーションと可能性:デジタルモデ

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