マイクロデンティストリー YEARBOOK2018
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別冊the Quintessence 「マイクロデンティストリー YEARBOOK 2018」Case Reportキーワード:マイクロサージェリー,歯周組織再生療法,低侵襲手術天然歯保存へのチャレンジ①特集262はじめに 歯周組織再生療法にマイクロサージェリーを応用することで得られるメリットとして3つ挙げることができる.1つは手指の運動技能が向上することでより高い精度で手術を実行できるため,外科医としての能力が上がり,よりよい治療結果が得られる可能性が高まることであり,2つ目は無理なくテンションフリーで,切開した両側のフラップの切開断面が正確に合わせられ,そこにマイクロスーチャーが行われることで初期閉鎖が獲得・維持できるようになることである.そして3つ目は,より小さな切開と小範囲での手術を可能とし,組織の侵襲を最小限に抑えることができ,つまり低侵襲手術(minimally invasive surgery)を可能とする点にある1.1.minimally invasive surgery(低侵襲手術) Minimally invasive surgeryは,歯科においてはHarrelとReesら(1995)2により歯周外科の際,最小範囲の創傷とわずかなフラップの挙上と軟硬組織に対する繊細な取り扱いを狙いとしたMIS(Minimally Invasive Surgery)の報告がなされ,CortelliniとTonettiら(2001)3はマイクロスコープを歯周組織再生療法に応用することによって歯間乳頭部の一次閉鎖の高い獲得率と,平均5.4mmのCALゲインを得るなど,良好な臨床成績が得られたことを示した. その後,CortelliniとTonettiら(2007)4は低侵襲な歯周組織再生療法の術式として創傷治癒における血餅の安定を重視し,血餅保護のための初期閉鎖を強調するMIST(Minimally Invasive Surgical Technique)を示し,さらに再生のためのスペース確保の考えを強調したM-MIST(Modied Minimally Invasive Surgical Technique)(2009)5を考案して臨床成績の向上を得た.そして歯周組織再生療法における骨欠損に対するアプローチ方法を決定するためのディシジョン・ツリーを手術のステップごとに示している(Cortellini 2012)(図1,2)6. このなかでCortelliniはフラップデザインを従来型の大きく展開するextended apと,低侵襲なフラップデザインとの2つに分け,低侵襲なフラップ北島 一静岡県開業 北島歯科医院連絡先:〒438−0017 静岡県磐田市安久路2−22−35Microsurgery in Periodontal RegenerationHajime Kitajimaマイクロサージェリーを 応用した歯周組織再生療法

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