はじめての顕微鏡 マイクロスコープが「見える」「使える」ようになる本
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手に持った抜去歯を動かしてみよう2視野を動かしてみよう 次は,視野が動くことに慣れるためのトレーニングを紹介する.顕微鏡治療では,拡大視するために,視野の中で物体が動くスピードも拡大率に応じて早くなる.実際の処置に際しては,器具の操作はゆっくりと小さく動かすのがポイントになるのだが,簡単にできることではない.臨床で使う前にこのトレーニングを十分に積んでおこう. 前項と同様に抜去歯を用意し,手に持って顕微鏡で観察する.顕微鏡を覗いた状態のままで抜去歯を動かして,根管口や歯根表面,根尖孔などいろいろな部分を観察してみよう.このトレーニングの目的は,①観察対象が大きく動くことに目を慣らすこと,②視界全体が大きく動くことに慣れることの2つである. 手に持った抜去歯を動かしていろいろな方向から観察したり,顕微鏡を動かして観察方向を変えたり,倍率を変えたりする.これらを顕微鏡から眼を離さずに覗いたままで行う.そうして,視野が大きく動くことに慣れていくのだ. 日常生活では視界が大きく動くことはあまりないので,慣れないと“顕微鏡酔い”と呼ばれる状態に陥ってしまうこともある.気分が悪くなってきたら,無理をせずに休憩して,回復してから再チャレンジする.徐々に時間を長くしていくのが慣れるコツである.無理をすると“顕微鏡酔い”という苦い経験から,本能的に顕微鏡を使うことから離れてしまう.1観察対象が大きく動くことに目を慣らそう抜去歯をゆっくり動かしても顕微鏡下では思いの外速く動くと感じるだろう.自分の手を動かすスピードと顕微鏡下で見えるスピードの感覚がつかめるようにする.使いこなすためのstep by stepPART446

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