根面う蝕の臨床戦略
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根面う蝕予防のためのプロフェッショナルケア2リスクを診る 全身状態や服薬の変化などが口腔の環境に影響し、根面う蝕のリスクが変化します。それらの変化を見逃さず、口腔内環境の悪化の徴候を早期にとらえることは、根面う蝕による歯の喪失防止の重要なポイントになります(図1)。根面う蝕のケアには、高濃度フッ化物の応用が1つのポイントになります。セルフケアで利用できない高濃度のフッ化物を、プロフェッショナルケアでは利用することが可能です。また、身体機能の低下によりセルフケアが不十分になりがちな方のセルフケア支援においても、歯科専門家による定期的なケアが重要になります。根面う蝕の予防1 歯冠部のう蝕、破折、補綴物の破損の有無を確認します。歯周疾患の状態もあわせて確認し、歯の動揺などによる咬合状態の悪化がないかを診査します。咬合不全により咀嚼能力が低下すると、自浄性の低下を引き起こします。また歯周疾患は、歯肉退縮にともなう根面の露出により根面う蝕のリスクを高め、さらに歯列がみだれることによる食片圧入も歯肉退縮を誘発し、根面う蝕の原因になります(図2)。そのためこれらのリスクが認められる場合には、改善可能なものは早期に対応してリスクを下げるようにします。診査のポイント❶ 歯冠と歯肉の状態、咬合状態を確認図1 露出根面の初期変化を見逃さない図2-a 歯の欠損により歯列がみだれリスクが高まる図2-b 食片圧入部に根面う蝕が発生5欠損により6が傾斜し、67間に食物が入りやすくなる。7が挺出し、食片圧入部に根面う蝕が発生している。104

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