口腔外科 YEARBOOK一般臨床家、口腔外科医のための口腔外科ハンドマニュアル'18
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Section2認定医・専門医をめざすエキスパートのための アドバンステクニックChapter1 口腔外科ビジュアルセミナーVISUAL SEMINAR : ADVANCED ORAL AND MAXILLOFACIAL SURGERY 嚥下リハビリテーションを効率的に行うためには,嚥下障害を的確に診断する必要がある.嚥下障害の発症時期と経過は原疾患によってさまざまであり,障害の部位,程度や障害の起こる頻度,障害を起こしやすい食品や姿勢なども個々の症例により異なり,嚥下障害の病態を正確に評価するためには,原疾患の理解とともにいくつかの検査法を組み合わせて,複数回の評価を行うことが必要である. 本稿では,嚥下障害の評価法としてgold standard な検査法として普及している嚥下造影検査と嚥下内視鏡検査について紹介する.このうち嚥下内視鏡検査は,訪問診療でも活用できる検査法として,口腔外科医のみならず一般歯科臨床家も実施することが増えているため,より詳細に解説する.嚥下造影検査[1]嚥下造影検査とは 嚥下造影検査(Videouoroscopic Examination of Swallowing,以下VF検査)では嚥下に関連する器官の形態と動態ならびに造影検査食の流れおよび貯留状態を観察し,障害の部位を判定し,貯留,喉頭侵入(造影検査食が声帯より上の喉頭内に侵入),誤嚥(造影検査食が声帯より下に流入)などの病態の定性的評価を行う1.さらに,咽頭貯留,喉頭侵入,誤嚥などが確認された場合は,ただちにそれらを改善するために,いわゆる代償的方法が適用される.代償的方法とは,食物性状,姿勢,ひと口量や摂食ペースなどを調節することにより食塊の流れを変えて,より安全に嚥下する手法であり,個々の患者の状態ならびに嚥下障害の種類と程度に応じて選択される.すなわち,VF検査は嚥下障害の評価のみならず嚥下障害の対応法を決定する方法であり,検査者には嚥下障害の管理について十分な知識と経験をもつことが要求される.また,VF検査中にモニターでVF画像を患者に呈示することにより,安全に嚥下できる方法を患者が自ら確認する視覚的バイオフィードバック法としてVF検査を応用することもある.通常,側面像(図1)で撮像するが,左右差を検討する場合には正面像で撮像する(図2).なお,貯留物や誤嚥物の排出能についても透視下で必ず確認する必要がある(図3,4).VF検査の評価表の一例を示す(図5).髙橋浩二昭和大学歯学部スペシャルニーズ口腔医学講座口腔リハビリテーション医学部門連絡先:〒145‐8515 東京都大田区北千束2‐1‐1Koji TakahashiDivision of Oral Rehabilitation Medicine, Department of Special Needs Dentistry, School of Dentistry, Showa Universityaddress : 2-1-1 Kitasenzoku, Ohta-ku, Tokyo 145-8515摂食嚥下機能の診断に役立つ嚥下造影検査・嚥下内視鏡検査のみかたAssessment for Diagnosing Swallow Function Using Videofluoroscopic Examination of Swallowing and Videoendoscopic Examination of SwallowingMovieスマホで動画が見られる!103,107頁(使い方:7頁参照)102Chapter1-2

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