口腔外科 YEARBOOK一般臨床家、口腔外科医のための口腔外科ハンドマニュアル'18
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VISUAL SEMINAR : ADVANCED ORAL AND MAXILLOFACIAL SURGERYは障害に対応するための重要な手がかりとなるが,通常のVF検査ではこれらの情報は欠落している.その対応策として,検査中に嚥下時産生音を頸部より収音し,検査時状況画像とVF画像を同時録画しておくと,検査時の状況(姿勢,上半身の体躯,意識レベル,意欲,発声,表情,摂食運動,呼吸音,嚥下音)を把握することができる.すなわち,検査後のリハビリテーションや摂食介助時に,姿勢を含め検査時の状況を正確に再現し,判定精度の高い頸部聴診によりモニターすることが可能となる2〜5(図7,8).嚥下内視鏡検査[1]嚥下内視鏡検査とは 嚥下内視鏡検査(Video Endoscopic Examination of Swallowing,以下VE検査)は経鼻的に挿入した軟性内視鏡(ファイバースコープ)を用いて鼻咽腔,下咽頭,喉頭を観察し,鼻咽腔・下咽頭・喉頭の器質的異常の有無,鼻咽腔の閉鎖機能,声門閉鎖機能,食塊の咀嚼状態と流れ,食塊・唾液の貯留や誤嚥の有無などを検査する方法である6,7.VE検査は嚥下障害を直視できる画像診断法として,近年,訪問診療などでも広く用いられている(図9).VF検査と同様に形態,動態,病態の評価を行うとともに,安全に嚥下するための対応法を確認する.VE検査は放射線被曝がないこと,造影剤が不要であること,機動性にすぐれること(ベッドサイドでの診断が可能)などの利点があるが,嚥下時には咽頭周囲組織が内視鏡先端部に接近し,画像が真っ白になり嚥下の瞬間には観察ができない(ホワイトアウト),内視鏡挿入にともなう違和感があるなどの欠点がある.[2]VE検査に必要な機器1)内視鏡とカメラ,画像プロセッサ 内視鏡ファイバーオプティックエンドスコープ(以下,ファイバースコープ)と電子内視鏡(以下,電スイッチャーアンプアンプ検査時状況画像検査時状況音声嚥下時産生音VF画像透視装置BV Enduraレコーダー図7 嚥下時産生音,検査時状況画像,嚥下造影画像の同時記録システム.図8 嚥下時産生音,検査時状況画像とVF画像を同時記録することにより,検査時状況を正確に把握することが可能となる(矢印は呼吸音,嚥下音を検出するために頸部に貼付したマイクロフォン内装接触子を示す).図9 VE検査は機動性が高く,訪問診療で嚥下機能を評価することができる(中央VE画像は合成).105Chapter1-2摂食嚥下機能の診断に役立つ嚥下造影検査・嚥下内視鏡検査のみかた

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