垂直的および水平的歯槽堤増大術
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94下顎前歯部の歯槽堤増大術9図9-5 骨膜切開(削ぐ動き)の後の舌側フラップの唇側面観。裏打ちする結合組織の内部に脈管が見えることに注意。図9-6 骨膜切開後は、剥離子(この写真に見られるMini Me)を歯冠側に押すような動きで用いる。これにより舌側フラップの伸展性が得られる。 第6章に書かれた原則はここにも適用される。どのようなメンブレンを使えばよいかについて、垂直的骨増大は第8章、水平的骨増大は第11章で検討している(図9-9と9-10)。 特に難しいのは、舌側でのメンブレンの固定である。非吸収性のメンブレンを舌側で固定するには、ハンドピースアダプターで設置可能な固定用スクリューの使用は良い選択肢である。しかしながら、角度をつけても安全に使用することができる大きい直径のチタン製のピンが著者のファーストチョイスである。 広範囲に何本もの切開を行うか1本の切開をかなり深く行わないかぎり、骨膜の切開だけではフラップの十分な伸展性は得られない。しかしながら、それらのテクニックは神経の障害、多量の出血や、フラップの脈管組織へのダメージにつながる可能性がある。下顎前歯の唇側フラップにおいては、第6章に示されている減張切開の3つのステップの原則“periosteo-elastic technique”を精密に適用するべきである。 下顎前歯部舌側のフラップは下顎臼歯部外科のゾーンⅢ(第6章参照)に相当し、唯一着目すべき部位である。同じ原則が用いられなければならない。下顎前歯部舌側においては、フラップ伸展のために両端がホッケースティック状の水平な骨膜切開が応用される。これは以下の段落で述べる。 2つの小さい舌側縦切開から、No. 15のメスを切開ラインに対して90度回転させ、削ぐような動きによって半鈍的な骨膜切開を行う(図9-4-2)。この方法を用いることで、舌側フラップの伸展性を向上し、その部位で起こる典型的な縫合部の裂開とメンブレンの露出を防ぐことができる。2ヵ所の小さな舌側縦切開と骨膜切開の組み合わせは、両端がホッケースティックの形に似ている(図9-5, 9-8)。9.4メンブレンの適合と固定9.5唇側フラップの伸展9.6舌側フラップの伸展

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