子どもたちの歯と歯列の成長を守るメインテナンス術
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初期う蝕を見逃さない!白・黒・グレーのスクリーニング精度を高めようなるべく初期の段階でう蝕を発見するポイントは裂溝う蝕と隣接面う蝕 う蝕が象牙質にまで進めば、もはや再石灰化は望めません。そうならないように予防していくのが、子どもたちをメインテナンスしていくうえでの最大の目標であると言っても過言ではありません。 エナメル質は再石灰化する可能性が高いと考えられますが、残念ながら脱灰の勢いのほうが上回って、象牙質う蝕に進行してしまうことも多くあります。再石灰化が望めなくなった初期う蝕の段階で、それを発見し、対応していくことが重要です。象牙質まで進行したう蝕を見逃して深在性のう蝕にしてしまうと、治療も複雑になり、その予後も心配になります。なるべく初期の段階で発見し、簡単な治療で済ませることが大切です。 子どもたちのう蝕の好発部位は小窩裂溝と隣接面です。また、初期う蝕の判断が難しい(グレーに分類されやすい)のも同部です。 小窩裂溝は、視診では裂溝の入口の部分しか確認できず、裂溝内部のリスクを把握できないという形態的な特徴があります。また臼歯部隣接面も、ひとたびエナメル質のコンタクトポイントから脱灰が始まると、再石灰化は難しくなります。エナメル質の厚みも咬合面に比較して薄いため、象牙質まで及ぶと急速に放射線状に進行します。特に象牙質の変色が確認しづらい永久歯では、視診での確認は困難です。そのため、永久歯の生え揃った10代半ば以降、見逃すリスクが上昇します。小窩裂溝と隣接面、それぞれに注意しなければならない点があるので、まずは次ページから裂溝う蝕について、P.36からは隣接面う蝕について説明していきたいと思います。 メインテナンスでう蝕を見逃すことは、今まで通ってもらった医院のイメージをマイナスにしてしまうという重い責任があります。また、これまで院長をはじめスタッフみんなで築いてきた信用にも影響します。だからこそ、歯科衛生士にはう蝕を見逃さないスキルを身につける必要があるのです。異常の見逃しはあってはならない26

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