PRD YEARBOOK 2018
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別冊the Quintessence PRD YEARBOOK 2018補綴I/Fabbri G et alジンを粘膜内部に設定する必要性があり、このことから、印象採得、セメンテーション、ならびに余剰セメントの除去のような、セメントに起因する臨床的作業に関連した合併症が起こる可能性がある19, 20。これは臼歯部において重要であるが、臼歯部では余剰セメントの除去を完璧に行い、作業を単純化するために、補綴装置のマージンを粘膜辺縁より粘膜縁上へ設置することが可能である21, 22。他の臨床的限界としては、チタンとポーセレンの接着性の脆弱性が挙げられる23。 チタンにおける欠点は、審美的および臨床的利点を伴うジルコニアアバットメントの発展と臨床適応を導いてきた1-4。ジルコニアアバットメントでは、余剰セメントの除去を簡単に行うために、補綴装置のマージンを粘膜辺縁上へ設置することが可能である(図2)4, 21, 22。 2つの材料は性質が異なるため、ジルコニアアバットメントの失敗メカニズムはチタンアバットメントの失敗メカニズムとは異なっている1, 3, 24。セラミックスは脆性材料であり、そのため引張り強さへの適切な抵抗性を有していない;通常、引張り強さが破壊靭性の域値を超えると破折が起こる1, 24。一方、チタンは延性材料であるため、圧縮と引張り強さに耐久性を持つ。メタルの破折前には、弾性変形と塑性変形が起こる1, 24。このことは荷重に対するメタルの優れた能力であり、セラミックスとメタルの主要な相違点である24。 ジルコニアアバットメントに関する臨床研究ではすばらしい生存率が報告されており、前歯部と臼歯部における単冠(SCs)の生存率は100%であった18,25。機能3年後における臼歯部領域の単冠では、ジルコニアアバットメントの生存率が100%に達するという臨床研究がある26。結果として、ジルコニアアバットメントはインプラント支持型補綴装置の使用に際して十分安定していると考えられており、満足できる機械的強度からメタルアバットメントの代替材料として注目された1, 18, 26。しかしながら、ジルコニアアバットメントに関する観察期間は、チタンアバットメントの観察期間よりも短いことがわかっている。出版された論文数、解析されたアバットメント数、ならびに観察期間の短さに関連して、セラミックアバットメントで収集された情報はきわめて少ない1, 3, 27。したがって、現在のデータでは、ジルコニアアバットメントの適応や治療成績に関する限界についての結論的根拠を提供するには不十分である4, 27。 インプラントとアバットメントの連結部における直径と種類は、セラミックアバットメントの信頼性において重要な役割を果たしている可能性がある4, 5, 7, 28-30。インプラントメーカーは、エクスターナルコネクションとインターナルコネクションのジルコニアアバットメントを提供している;しかしながら、インターナルコネクションのアバットメントを提供しているいくつかのメーカーは、破折のリスクを減少させるためにメタルインサートのジルコニアアバットメントを提供している。実際に、in vitroの研究において、チタンアバットメントもしくはメタルインサートを有するツーピースのジルコニアアバットメントは、ワンピースのインターナルもしくはエクスターナルコネクションのフルジルコニアアバットメントよりも、高い曲げモーメントに抵抗しうることが明らかにされている1, 31, 32。アバットメント‐インプラント複合体に関する興味深いパラメータとして、修復物の垂直的高さ(RVH、インプラントのプラットフォームから上部構造の切端部までの距離)が挙げられ、これが連結様式の種類に関連したアバットメントの破折リスクへ影響する可能性がある。現在まで、インプラントの埋入位置、連結様式、ならびに直径と関連したRVHの影響を調べた研究は存在しない。 今回の多施設後向き臨床研究は、前歯部または臼歯部のどちらかに埋入されたインプラントに設置されたジルコニアアバットメントの臨床成績を評価することにある。主要評価項目は、ジルコニアインプラントアバットメント支持型上部構造の生存率と成功率であった。副次評価項目は、インプラントとアバットメントの連結様式、RVH、咬合、ならびに生物学的パラメータを含む、生体力学的および機能37

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