GP・小児・矯正が共に考える 実践早期治療
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図1 反対咬合の成育的治療支援手順.成長の前提条件獲得のため次のような治療支援を行う.まず咬合の咬頭干渉の除去→上顎歯列の拡大→被蓋の改善→臼歯部での咀嚼訓練→中心位咬合を確立→MFTによる舌挙上訓練→低位舌用リンガルアーチ等で舌位挙上を図る→口唇閉鎖・鼻呼吸の確立→下顎の成長方向の確認と長期管理.このような治療の流れを矯正装置と咀嚼訓練,MFT,その他を併用して,それぞれの症例で治療目標を達成する.図2 低位舌用リンガルアーチ.₆₆咬合面レストがあり,圧下が行える.顎舌骨筋線上(赤線)に舌挙上ウェッジが形成されている. 下顎前突の顎骨形態と舌の姿勢位は,相互に影響しており,顎骨形態によって,低位舌が生じることがあります.下顎前突の外科的矯正治療により,顎骨形態が改善され低位舌が改善されることがあります.また,下顎前突の低位舌を改善するヒントは,早期の矯正歯科治療にあると思います.低年齢時に可能な限り顎骨形態を改善し,舌機能が形態変化に順応するような治療を心がけたいものです.近年,低位舌の影響を考えて,MFTによる訓練や舌を挙上する装置を使って改善する試みが行われています. 加齢による口呼吸,口腔乾燥症によって引き起こされる低位舌は,後天的な誘因によるもので MFTが有効です.これらの症例の低位舌は,舌の挙上訓練による舌の姿勢位の改善,リップトレーニングによる口輪筋の賦活,そして口唇閉鎖を習慣づけることにより是正されます. 舌小帯短縮症は,切除手術と手術前後の舌挙上訓練を行うことにより動きが良くなり,低位舌は改善します.低位舌に対するエクササイズは,舌の挙上や舌後方部の訓練が有効です. 3.低位舌の改善視診による低位舌の鑑別は,次のような方法で確認できます.①安静時や会話中の口元や舌の姿勢位を観察する  ②発音からチェックする③注水して嚥下をチェックする また,加齢や口腔乾燥症などにより舌が沈下している場合や口呼吸により口唇閉鎖不全になっている場合,低位舌になることがあります. 下顎前突の低位舌は,顎骨形態に由来します.また,鼻閉などによる口呼吸は,低位舌を引き起こす大きな誘因になることがあります.舌小帯短縮症は,物理的に舌尖の挙上ができないため低位舌になることがあります.▶▶反対咬合の成育的治療支援手順▶▶低位舌用リンガルアーチ4 下顎前突症例:機能訓練と低位舌用リンガルアーチを用いた低位舌の改善機能的咬頭干渉の除去上顎拡大(MUH,バイオブロック,ヘリックス,リンガルアーチ等)被蓋の改善臼歯部咀嚼訓練中心位咬合を確立する舌位挙上を図る口唇閉鎖・鼻呼吸の確立成長方向の確認・管理上顎前方索引M F T169

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