新版 チェアサイド・介護で役立つ 口腔粘膜疾患アトラス
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Ⅰ.口腔粘膜疾患の原因療法a.薬剤の特徴 アムホテリシンB(ファンギゾン®シロップ100mg/mL)は古くからある薬で、強力な抗真菌活性をもつ。飲んでも体内にほとんど吸収されないので、口腔を含む消化管の表層のカンジダ症だけに有効である。a.薬剤の特徴 ミコナゾール(フロリードゲル経口用2%)はアゾール系抗真菌薬で、ゲル剤とすることで局所での治療効果を高める薬剤である。肝臓ですぐに代謝され体内にほとんど移行しないため、深在性真菌症には有効ではない。また、他の薬剤と相互作用を起こすことがあるので、常用薬に注意が必要である。b.具体的な使用方法 フロリードゲル経口用2%(図1)は1日10~20g(5gチューブは2〜4本;20gチューブは半分〜1本)を4回に分け(毎食後、就寝前)使用する。口腔内にまんべんなくいきわたらせ、できるだけ長く含んだ後、嚥下する(図2)。ゲルを口腔内に入れる方法は、⃝チューブから直接口に入れる⃝いったんスプーンに出して口へ入れる⃝いったん指につけて口へ入れるなどの方法がある(図3)。その後30分から1時間は、できるだけ飲食やうがいを行わないようにする。投与期間は原則14日間であり、7日間投与して効果がみられない場合は中止する。c.使用時の注意点 本剤は真菌細胞壁のエルゴステロール合成に関与するチトクローム(シトクローム)P-450を阻害し薬効を発揮する。このため一部の薬剤の肝での代謝分解を妨げ、その薬の血中濃度が上昇して副作用が出やすくなる。そのため併用禁忌が多い(表1)。新薬が出るたび併用禁忌が増えるので、つねに最新の添付文書情報を確認しなくてはならない。また、妊婦または妊娠している可能性のある婦人には投与禁忌である。口腔カンジダ症11SECTION〜13ならびにカンジダ関連病変14SECTION〜16に対する治療薬である。アムホテリシンBミコナゾールb.具体的な使用方法 口腔カンジダ症に対しての使用方法は1mL(アムホテリシンBとして100mg)のシロップを舌で口腔に広くいきわたらせ、できるだけ長く含んだ後に嚥下する。これを1日2~4回、食後に行う。c.使用時の注意点 吐き気や食欲不振などの胃腸症状がみられることがある。1抗真菌薬図2 フロリードゲル経口用の使用法。口腔内にまんべんなくいきわたらせ、できるだけ長く含んだ後、嚥下する。図1 フロリードゲル経口用。140口腔粘膜疾患アトラス

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