3Dイラストで見るペリオドンタルプラスティックサージェリー インプラント・ポンティック編
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1103章プラスティックサージェリー後のポンティック基底面の調整12図3-1-1lFGバー2mm部分へのマーキング バーの挿入深度バーの挿入深度は、改良オベイト型ポンティックではゼニス部でもっとも深く、近心および遠心歯間乳頭部に近づくにつれて浅くなっていく。その深さはゼニス部でおよそ2mmを目安とする。またオベイトポンティックでは、歯槽堤中央部がもっとも深く、その深さはおよそ2mmを目安とする。バーの先端から2mmの位置にマーカーなどでマーキングしておくとバーの挿入深度が確認できる。ポンティック基底面直下の歯槽粘膜の厚さは1mm以上になるように注意が必要である11、12)。太めのラウンディッドショルダー用FGバーを用いて、想定した唇側概形線のやや内側から欠損部歯槽堤歯肉を削合する10)。バーの角度は、⑩と同じく左側中切歯の歯軸方向を参考に、やや唇側方向に倒してから削合し始める。ゼニスを中心とし、近心方向と遠心方向に想定した唇側概形線に沿ってバーを立体的に動かし、徐々にバーの挿入深度を深める。同時にバーの角度を徐々に歯根方向に立てていく。唇側遊離歯肉には2mm以上の厚さが必要となるため、薄くなり過ぎないよう注意を要する。唇側歯肉が薄い場合は、この段階ではオベイトポンティックの形態に準じた歯肉削合にとどめておく。その後のアポイントでの基底面形態の修正時に、基底面唇側部分にレジンを盛り足して、唇側歯肉に圧を加えて改良オベイト型ポンティック形態に調整する。03Evidence 1.Orsini G, Murmura G, Artese L, Piattelli A, Piccirilli M, Caputi S. Tissue healing under provisional restorations with ovate pontics: a pilot human histological study. J Prosthet Dent 2006; 96(4): 252-257. 2.Niederauer GG1, McGee TD, Keller JC, Zaharias RS. Attachment of epithelial cells and broblasts to ceramic materials. Biomaterials 1994; 15(5): 342-352. 3.Zitzmann NU, Marinello CP, Berglundh T. The ovate pontic design: a histologic observation in humans. J Prosthet Dent 2002; 88(4): 375-80.オベイトポンティック下軟組織の評価 セラミックとレジンで製作したオベイトポンティック下の軟組織を組織学的に評価すると、セラミック製のポンティックがレジン製と比較して炎症は軽度であったと報告されている1)。生物学的にはセラミックと上皮細胞の親和性は高く、ある種の接着機構が存在している可能性もある2)。 一方で、緊密ではあるが無圧な接触のセラミック製オベイトポンティック下の軟組織を正常部位と比較すると、ポンティック下の粘膜はケラチン層が薄く、上皮に近接する結合組織層では炎症性細胞が多いとされている2)。ケラチン層は粘膜の防御に寄与しているため、ポンティック下粘膜は防御が脆弱な可能性がある。したがって、術後のメインテナンスが重要と考えられるが、その手法に関しては未だコンセンサスは得られていない。ダイヤモンドポイントで上皮を一層削除した後にオベイトポンティックを仮着。仮着後のポンティック下粘膜は周囲の正常粘膜とは異なるが、炎症状態とも異なる様相を呈している。

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