説明のプロに聞く!メインテナンスの重要性をわかってもらうには!?
3/4

取り早いのは、クイズです。クイズの効果は絶大です。「受け身で聞き流そうとしてた人」を、一発で「能動態」に変えちゃう力があります。「さて何でしょう!?」と言われた瞬間に、「ええっと……」と考え始める。この瞬間に能動態に切り替わってますから。 紙面の都合で、歯科で使えるクイズの具体例はここではご紹介できませんが、ご存じ・岡崎好秀先生の一連の著作*1の中に、すっばらしいのが死ぬほど出てきますんで、探してみてください。 やらかしがちな失敗は、「この後説明する内容につなげなきゃ」と思って、どストレートでクソおもしろくもない問題を出しちゃうこと。それ、「どーせお説教だろ感」に直行です。クイズで絶対にはずしちゃいけないポイントは、「つい考えたくなる・つい答えたくなる」。これが起こらないクイズは、プラークのかたまりみたいなものですんで。 まずはとにかく、この言葉を思い切って言えるようにがんばってください。それだけで、チェアサイドでの会話がビックリするくらい激変しますよ。その言葉とは…… 今どきの人たちは、得なことがなければついてきません。「正しいことをきちんと」なんて、どーでもいい。けっして「正しい」ではなく、「めっちゃお得なこと」として、メンテのメリットや、「ちょーすごいコツ」をプレゼントしてあげてください。だってどう考えたって、歯が抜けずにおいしく食べられて血糖コントロールもできてシャキシャキ歩けた方が、めっちゃ得に決まってるんだから。 でも、いきなりお得感をバッチリ感じさせるのは難しいです。だから考えるのです。逆に、「阻害要因は何だろうか」を。 チェアサイドで起こることで、お得感とは真逆に働いちゃう"感"とは、一体なんでしょう? そう、「押し付けられ感」「早く終わらないかな感」「もう来たくない感」などなどですね。それらはいつどのように相手の気持ちの中に発生するのでしょうか? たぶん、いろんな瞬間に生まれたちっちゃな負の気持ちが重なってできるものでしょう。そーゆーのを、ちゃんと一つずつ考えるのです。相手の顔色を見ながら。今どきの人は勝負早いんで、つまらない番組は一瞬で「ピ」でしょ。あなたの目の前に横たわってる人も、心の中は同じです。 「よくわかんないんですけど感」「なんか上から目線なんですけど感」「出た出た、毎度おなじみのお説教ですね感」「そんなのわかっちゃいるんだけどねー感」「その図が怖いんですけど感」「レントゲンとか見せられてもどこがどうだかわかんないんだよね感」etc., etc……。 これらのすべては、あなたが「こちら側」にいるから起きるもので、こちら側にいると気づきにくいものです。……ということを心して、ちゃんと一つずつ考えとく。だって、プロなんですから。 相手の鯛をおびき寄せ、食いつかせるベストなエサは何なのか。ケースバイケースでいろいろ考えておくんです。繰り返しますが、“感”には“感”。理屈ではありません。話を受け入れてもらうには、「話の内容以前の“感”」、すなわち笑顔や声、医院の空気その他がいい状態であるに越したことはないですからね。 ちなみに、巨鯛を釣るには、早い段階で、まずちっちゃい鯛を次々釣ることです。そのためにもっとも手っ最強の"感"は、「お得感」。では、いきなりですけどクイズです。*1 岡崎好秀.世界最強の歯科保健指導(上巻) 診療室から食育まで.東京:クインテッセンス出版,2017.など「歯の周りにつく、細菌のかたまりをなんというでしょう?」(答え:プラーク)「おとなの歯は、何本あるでしょう?①20本 ②28本 ③44本」(答え:②28本)「動物園のサルは、どの季節にむし歯が増えるでしょうか? また、その理由はなんでしょうか?」(答え:春と秋 理由:気候が温暖な季節におしかける行楽客がお菓子を与えるから など)すばらしいクイズダメなクイズメインテナンスの重要性をわかってもらうには!?22

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る