治る歯髄 治らない歯髄 歯髄保存の科学と臨床
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感染のない歯髄は治癒する①:外傷歯による露髄 露髄した歯髄の治癒は,外傷による露髄(複雑歯冠破折)から学ぶことができる.なぜなら,う蝕とは異なり,感染のない露髄だからである.脱臼性外傷の併発がなければ,複雑歯冠破折の歯髄の治癒率は非常に高い.歯髄保存後,8年経過した症例を示す.図4a 13歳男子.けんかで殴られ,2に複雑歯冠破折を生じた.EPT(+)であり,脱臼性外傷をともなわないことがわかる.図4b 咬合面観.小さな露髄を認める.EPT(+).図4c エックス線写真.歯冠破折を認めるが,根尖部に問題はない.図4g 術後8年.EPT(+),臨床症状は正常範囲内であり.問題を生じていない.図4h 同舌側面観.図4i 同エックス線写真.異常を認めない.外傷による露髄はほとんどの場合問題にならず,歯髄を保存することができる.agbhc図4d 術直後.部分断髄後,水酸化カルシウムセメント(ダイカル,デンツプライシロナ)を貼薬し,接着性レジン(スーパーボンド,サンメディカル)で裏装,その後,コンポジットレジン(エステライトΣOA2,トクヤマデンタル)で破折片を再接着した.図4e 同舌側面観.図4f 術直後のエックス線写真.問題は認められない.図3a〜cに示す術式にて部分断髄,破折片の再接着を行った.詳細は,文献18を参照されたい.defi018

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