臨床家のための矯正YEARBOOK2018
3/6

図13 術後の顔貌,口腔内,セファログラム,パノラマエックス線写真(25歳4か月).術後の顔貌はオトガイの後退感が解消され,自然な笑顔が得られている.オトガイに過度な緊張が生じることなく口唇閉鎖することができるようになっている.開咬および叢生が是正され,4444が抜歯されているが,抜歯空隙は完全に閉鎖されている.下顎前歯部には犬歯-犬歯間固定式保定装置が装着されている.セファログラムでは,開咬の解消および上下顎前歯部の遠心移動が認められる.パノラマエックス線写真では,4444および₈が抜歯されている.歯根の平行性は良好である.ab図14a, b 術前・術後の側貌(口元)の比較.術前の口元(a)は上唇が短く下唇を突き上げるようにして閉じており,オトガイに過緊張が見られる.これに対し,術後(b)では,上下口唇がリラックスした状態で閉鎖している.052臨床家のための矯正YEARBOOK 2018訴のひとつである口元の形を治すために,4444抜歯を行い,上下前歯部の遠心移動を行った. 口腔機能の問題点として,嚥下時の前方への舌突出,低位舌,口呼吸,タ行・サ行の歯間音化構音,無咬合嚥下,舌および上下唇の弛緩,舌の動きの悪さ,口唇閉鎖時および嚥下時のオトガイの過緊張,右側顎関節の反復性クリックなどが認められた.矯正治療とMFTは同時に開始された. 矯正治療の手順は次のとおりである.特集 成人の開咬を考える 第Ⅰ部 スタディグループによる症例提示

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る