臨床家のための矯正YEARBOOK2018
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図3 症例1の初診時(18歳5か月)顔貌写真および口腔内写真.136臨床家のための矯正YEARBOOK 2018に特許に認定されている(特許証 第5904963号). 臨床試験では,患者57名に対し,2種類のType-TK(プロトタイプ)を植立した(図2).結果として,全体の成功率は88%であり,内訳として直径1.6mm,長さ7mm,テーパ2°のモデルでは93%(N=41),直径1.4mm,長さ6mm,テーパ1°のモデルでは82%(N=50)であった.直径1.6mmの締付トルクの平均は6.13Nm,緩みトルクの平均は6.63Nm,「緩みトルク/締付トルク」で求められるトルク比は1.11と緩みトルクのほうが大きいという結果であった.歯科矯正用アンカースクリューの破折は認められなかった.以上の結果より,Type-TKは従来のものと比較して,緩みトルクが大きく,脱落率のきわめて低い,skeletal anchorage deviceであると考えられる. 今回,Type-TKを固定源に用いた矯正歯科治療を施した成人開咬2症例を紹介する.Type-TKは臨床試験開始から2年半,販売開始から1年しか経過していない.そのため,本報告ではType-TKを固定源とした上顎臼歯の圧下により治療を完了した,成人開咬の1例と,全歯にわたる圧下を施し,前歯部の開咬とlong-face syndromeの改善を目指している1例を紹介する.症例1初診時年齢:18歳5か月の女性.主訴:前歯でまったくものが噛み切れない.顔貌:正貌はsymmetry,側貌はオトガイの後退感をともなう凸型であった(図3).E-lineから上下口唇までの距離はそれぞれ+1.5mm,+3.5mmであった.口腔内所見:前歯部被蓋関係はOverjet+7.3mm,Overbite-3.0mmであり,第一大臼歯の近遠心的関係は両側Angle Ⅱ級であった(図3).セファログラム分析所見:ANB角が6.9°の骨格性Ⅱ級上顎前突症であり,FMAが43.8°のhigh mandibular [症例1(図3~6)]特集 成人の開咬を考える 第Ⅱ部 メーカーによる商品紹介&臨床応用

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