完全攻略 スーパーボンド(R)
4/6

43no.4:スーパーボンド®の生体親和性 ―なぜ歯周組織に優しいのか? その謎に迫る― とくに製品Aを用いた歯根では,著しい骨吸収と根吸収がみられた(図4-2).このようにレジンセメントによって生体親和性が大きく異なった原因として,レジンの組成や重合率,歯面処理材の影響が考えられる.  生体親和性に影響する要因Ⅱ1MMA系レジンセメントの種類と組織反応の違い スーパーボンドと基本成分が類似しているMMA系のレジンセメント(製品D)を比較対象として,ラット背部皮下結合組織における組織反応を調べた2.スーパーボンドでは,表面処理材グリーンを結合組織に滴下して5秒後に水洗,エアードライし,製品Dではプライマーを滴下して20秒後にエアーブローを行った.それぞれモノマー液とポリマー粉末を混和してただちに滴下,縫合を行い,結合組織内で重合させた.さらに前処理を行わずに,各レジンのみを滴下したものを合わせて4群とし,1,2週後に病理組織学的に炎症状態を評価した. その結果,4群ともリンパ球を主体とした炎症性細胞の浸潤がみられ,形質細胞や多核巨細胞,毛細血管も観察された(図4-3).しかしその程度は1,2週後ともスーパーボンドが製品Dに比較して有意に少なかった.スーパーボンドでは2週後にはレジンとの界面にほぼ正常な結合組織がみられたが,プライマーを使用した製品Dでは広範囲に炎症性細胞が認められた.これらの結果は,スーパーボンドは図4-2 接着再植後の歯根吸収率.スーパーボンドでは歯根を破折せずに再植のみを行った場合と有意差がなかったが,ほかのレジンセメントでは有意に高くなった.図4-3a~d MMA系レジンセメントのラットの結合組織への1週後の起炎性.図a:スーパーボンドのみ.図b:レジンセメントのみ(製品D). 図c:表面処理材グリーン+水洗乾燥+スーパーボンド.図d:プライマー+エアーブロー+レジンセメント(製品D).いずれも標本作製過程でレジンは消失している.1008060402006543210再植のみスパーボンド製品A製品B製品C健全歯象牙質スーパーボンド2mm0.5mm1mm2mm(mm)(%) 置換性吸収率炎症性吸収率*:再植のみとの比較(p<0.05)*NS**レジンレジンレジンレジンbadc結合組織結合組織結合組織結合組織

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る