完全攻略 スーパーボンド(R)
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116  はじめに スーパーボンド®のエンド領域への応用としては,これまでも穿孔部の封鎖などに使われてきたが1,あくまでもその使い方は補綴・修復処置の延長線上であり,根管充填への積極的応用というわけではなかった. これまでの根管充填用シーラーは,キャナルス®などに代表される酸化亜鉛ユージノール系にせよ,シーラペックス®などに代表される水酸化カルシウム系シーラーにせよ,根管壁とガッタパーチャポイントの隙間を密着して埋めているだけであった. AHプラス®など,従来から使われてきたレジン系シーラーも,機械的な物性向上を主眼とし歯質への接着性はなかったため,ほかのシーラーと比較した予後成績の差はあまりなかった2. しかし,スーパーボンドを根管充填用シーラー用に改良したスーパーボンド®根充シーラー(図7-1:サンメディカル・以下「SBシーラー」と称す)は,根管象牙質への高い接着性能と生体適合性3を有した接着性レジン系シーラーである.SBシーラーは,根管象牙質への酸処理を行うことにより,従来のシーラーに比べて封鎖性・機械的強度・側枝への到達性が有意に高いとされている4~6.  接着性シーラーの特性Ⅰ SBシーラーは,モノマー液,キャタリストVなどはスーパーボンドと同じであり,ポリマー粉末(粉材)のみが異なる.シーラー粉材はポリマー粉末ラジオペークをベースに酸化ジルコニウムの添加量を増やすなど,根管充填用に最適化されている. 基本組成が4-META/MMA-TBBレジンであることから,4-METAによってモノマーが歯質に対して浸透拡散し,重合開始剤であるTBBにより,湿潤環境下でも確実にモノマーを重合できる7.これにより,根管象牙質とSBシーラーの間には樹脂含浸層が形成され,象牙細管内にはレジンタグが形成される. 一方,モノマーはガッタパーチャポイント表層にも浸透するため(図7-2),根管象牙質,SBシーラー,ガッタパーチャポイントが一体化したモノブロック構造が形成される.これらにより,万一,微小なクラックが根管壁より拡がっていたとしても,あらかじめ封鎖することが可能となり,歯根破折の予防に繋がると期待されている. 接着性シーラーは歯質と接着させるという目的があるために,仮封材や根管貼薬剤,根管洗浄剤,以スーパーボンド®根充シーラーを用いた根管充填臨床でどう使う? スーパーボンド®3章―生体にとっても優しいSBシーラー―no.7図7-1 スーパーボンド根充シーラー&アクセルセット.

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