チェアサイドQ&A 予防歯科編 PART1
5/6

104ブラッシング歯ブラシデンタルフロス歯磨剤洗口液食品喫煙歯周病回答:長田恵美、於保孝彦 歯面清掃をきちんと行うことは、シーラント剤の保持のために重要なステップですが、おっしゃるとおり、深い小窩裂溝の底にはそれでも口腔細菌が残ってしまいます。シーラントの適応である初期う蝕病変部位にも細菌は生息しています。では、これらの細菌の上にシーラントで蓋をすると、そこでは何が起きるのでしょうか。 う蝕は、歯の表面に付着した口腔細菌によって引き起こされるダイナミックな変化と言えます。普段は口腔細菌と歯との力のバランスが保たれていますが、口腔清掃不足や甘味食品の不適切な摂取によって細菌の活性が勝ってそのバランスが崩れると、細菌が産生した酸によってしだいに歯の硬組織が崩壊し、病変が進行するのです。 逆手にとれば、細菌の活性を抑えることができたら、病変の進行は止められるということです。ここでシーラントの登場です。シーラントをすると、シーラントに覆われた部位に生息する細菌の数が減ります。これはシーラントがシーラントに覆われた細菌と外界を遮断して、細菌への栄養供給を断つからだと考えられています。その結果、小窩裂溝における初期う蝕の進行は止まります。このようなシーラントによる“細菌閉じ込め・兵糧攻め作戦”で、う蝕の予防と進行抑制を成功させましょう。シーラントに関する疑問保護者に「歯の深い溝の底は清掃器具が届かないから、むし歯菌が残っていると思いますが、シーラントで塞いだ場合、残った菌が原因でむし歯が進むことはないのでしょうか?」と聞かれました。どう答えればよいでしょうか?シーラントをしても小窩裂溝の底に残った細菌でう蝕になる?Q45シーラントで塞がれた溝の中では、う蝕の進行は抑制されます。A45

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る