歯科の伝説検証ファイル
2/6

51歯みがき これホント?!Dr. 桃井保子いまの中高年世代が子ども時代に身に着けた歯みがき習慣、それを広めたのが333運動ですよね。「3度の食後、3分以内に3分間歯をみがきましょう」と、わかりやすい標語で食後の歯みがき習慣を日本に定着させた画期的な歯科保健運動でした。 起床時に洗顔と歯みがきをし、食後や寝る前の歯みがき習慣がなかった昔の日本人。近年の333運動の甲斐あって、いまや日本は朝晩歯みがきする人が7割以上という、世界に冠たる歯みがき大国です。食後みがきもすっかり定着していますね。おかげで、我が国の歯科保健はさらなる高みを目指し、歯みがきの効果と効率を進化させる段階に入っているんです。 食べカスというよりプラーク(細菌の塊で、学術的には口腔バイオフィルムともいいます)を歯みがきでこすり落とすのだということ。プラークは放っておくと成熟して取れにくくなってしまうから必ず1日に1度歯ブラシ+フロスまたは歯間ブラシですみずみまでしっかり除去しよう。フッ素(フッ化物)入りの歯みがき剤をタップリ使おう。これが歯みがきの基本と考えられるようになってきました。 現在歯みがきは、患者さんの歯の状態や生活リズムに合わせたカスタマイズ型へと進化しています。歯みがきタイムは、忙しい朝とゆっくりできる就寝前では取れる時間が違うでしょうし、歯並びがよく手入れが楽な人と歯がデコボコしている人では、当然ながら歯みがきにかかる時間は異なりますよね。 ところで、「すぐに歯みがきをしないほうがいい」という説ですが、これは中高年になって歯ぐきが下がり歯の根が出てきたら、スッパイものを食べて軟らかくなった歯の根を食後すぐに歯ブラシでこすらないほうがよいというおすすめです。ですからこんな心配のないかたでしたら、食後すぐに歯みがきしていただいて、ちっとも問題ないんですよ。 ことほど左様に、ピッタリの歯みがき法は十人十色。「よくみがいている」と「よくみがけている」とは違うので、ぜひプロに教わりましょう。歯医者さんや歯科衛生士さんが、あなたに合う方法を教えてくれますよ。わかりやすい標語で歯みがき習慣を定着させた333運動。おかげで日本は世界に冠たる歯みがき大国になりました。いまはこの成果をふまえ、さらなる予防効果を上げるためそれぞれの患者さんにピッタリな方法を歯科が指導するカスタマイズが進んでいます。ぜひお試しを!

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る