歯科の伝説検証ファイル
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91からだとお口の健康 これホント?!なるほど。たしかに歯科医院の問診表には質問項目がいっぱいあります。生活習慣とか、持病とか。書くのもたいへんでしょう。で、これが無駄なんじゃないかとお考えですね? 結論から申し上げますと、歯科治療と全身疾患の治療は、関係、大いにありです。歯科医院においでになった患者さんが、自分の全身の状態がどうか、どういう薬を飲んでいるかを歯科医師に伝えることは、ご自分の身を守るためにとても大事です。 たとえば、血液をサラサラにするワーファリンという薬がありますね。血栓の予防に飲んでいるかた、多いのじゃありませんか? これを歯科医師に申告せず、「たかだか抜歯だ、大丈夫」なんて思ってたらたいへんです。なかなか血が止まらない。止血処置のためには相応の準備をしておく必要があるんです。 骨粗しょう症の患者さんも要注意です。BP剤という骨粗しょう症の治療薬を長く飲んでいる患者さんが不用意に抜歯すると、あごの骨が壊死してしまうことがあります。 糖尿病の患者さんは、免疫が低下するので感染を起こしやすいです。私が駆け出しだった頃、親知らずが腫れて危うくいのちを落としかけた患者さんがいました。糖尿病だと申告せず、他科で抗生物質をもらって飲んでいたそうですが、私を受診したときにはひどく腫れて細菌が全身にまわる寸前。緊急手術をしたあとは集中治療室に直行でした。 「歯医者は、歯のことしか知らないだろう」なんて思っていませんか? 私たちは外科も内科も耳鼻咽喉科、皮膚科についても学んでいます。きちんと申告してもらわないと、患者さんの不利益になります。持病についての質問は、必須項目なんですよ。 いちいち書くのがたいへんなら、お薬手帳ってあるでしょう。あれをお持ちください。それか、手帳に貼るお薬のシールだけでも財布のなかに日ごろから入れておいて、受付で「コピーを撮ってください」って出してください。 ご自分の身を守るため、必ず、必ず、お願いします。Dr. 八重垣 健歯科治療と持病の治療は関係大あり。患者さんの全身状態について知らずにいては、必要な配慮や処置ができません。ご自分の身を守るためにも全身状態について歯科医師に必ず伝えてください。

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