インプラント治療の説明書と同意書の作り方
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 は、治療後に患者さんに、たとえば合併症・偶発症や副作用などが生じたケースです。このケースでは、これらを患者さんが治療上の過誤(ミス)によるものと「誤解」し、過誤(ミス)であるとする患者さんの主張と、そうではないとする歯科医師の主張が対立して、トラブルが発生します。 他方、患者さんに不利益な事実が生じなくても、トラブルが発生することがあります。それは、治療によって得られた結果が、患者さんが抱いていた「期待」を損なったケースです。 患者さんは、治療を受けるにあたって、一定の治療効果を「期待」しています。このこととの関係で、治療上の過誤(ミス)がなく、さらには合併症・偶発症や副作用などが生じなくても、抱いていた「期待」が損なわれたことで、トラブルが発生することがあります。そしてこの点が、歯科診療においてトラブルが発生しやすい事情の1つとなっています。 すなわち、歯科診療で患者さんの「期待」は、主に機能と審美の点に向けられています。ただ、機能も審美も、患者さんにとってはあくまでも「主観」的なものです。自分の満足感や納得感がその判断の基準となります。それゆえ、医学的にみて十分な治療効果を上げたケースでも、患者さんが、得られた結果では「満足できない」「納得できない」と考えたことで、トラブルが発生します。 トラブルの原因となる事象もさまざまです。代表的なものは、次の2つです。患者さんに不利益な事実が生じなくても、トラブルは発生する2 患者さんに不利益な事実が生じたこと 患者さんが抱いていた「期待」を損なったこと患者さんが抱いていた「期待」を損なったことでトラブルが発生するのは、患者さんが、医学的には本来ありえない治療効果を「期待」していたためです。この意味では、やはり患者さんの「誤解」が原因(の1つ)となっています。失敗したってこと?想像以上に腫れが起こることがまれに……経過はとても良好です。もっときれいになると思っていたのに……18患者さんを「クレーマー」にしないための インプラント治療の説明書と同意書の作り方

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