下野先生に聞いてみた2
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026PART 1 エンドの疑問リバスクラリゼーションとは,根未完成歯に対する根管処置の1つで,歯髄壊死をともなった歯根未完成歯に対して,抗菌剤による滅菌と意図的出血によって硬組織を形成させ,歯根の長さと厚みを増して成長させる新しい治療法です1~4.【くわしい説明とEvidence】名称と経緯 リバスクラリゼーションは2001年にIwayaらによって世界で初めて報告されました5.その後,数多くの症例が報告され,歯内療法の分野で注目されています8~15. リバスクラリゼーションを日本語にすると「血管再生」「血管再建」「血管再構築」と訳されます.外傷歯の分野で古くから使われてきた用語であり,根未完成歯を移植すると,歯髄はいったん壊死に陥るのですが,やがて肉芽組織(幼若な血管結合組織)が増殖して,壊死歯髄に置き換わります.このような現象がリバスクラリゼーションとよばれてきました2,6. リバスクラリゼーションという用語を巡って,専門誌上(J Endodontics)で論争が展開されましたが,近年はリバスクラリゼーション(revascularization)もリバイタライゼーション(revitalization)も再生歯内療法(regenerative endodontics / procedure)という用語に統一されてきています1.根未完成歯の根管処置 根未完成歯の根管処置として,アペキソゲネーシス(apexogenesis)とアペキシフィケーション(apexication)は以前より実施されてきました.これに加えて近年,リバスクラリゼーション(revascularization)も根未完成歯の根管処置の選択肢の1つとして注目されるようになってきました1. 根未完成歯を根管処置する場合,【歯髄が生きている場合】①アペキソゲネーシス【失活している場合】②アペキシフィケーション,または,③リバスクラリゼーションを選択することになります7.アペキソゲネーシス アペキソゲネーシスは,根未完成歯の根尖部に生活歯髄が残存する場合,これを保存して根尖を形成させる方法です.根未完成歯の根尖はラッパ状を呈しており,緊密な根管充填を施すことが難しいので,アペキソゲネーシスによって,根尖を生物学的に閉鎖させることが目的です. 麻酔下で生活歯髄を切断し,切断面に水酸化カルシウム製剤またはMTA (61ページ参照)を応用し,接着性セメントで封鎖します.残存した生活歯髄の中には象牙芽細胞やヘルトヴィッヒ上皮鞘が存在するので,デンティンブリッジが形成され,歯根象牙質も発育します.象牙質の厚みと長さが増加し,根尖孔も閉鎖します7(図9-1).アペキシフィケーション アペキシフィケーションは,歯髄が失活している根未完成歯の根尖に硬組織を形成させる方法です.歯髄が壊リバスクラリゼーションとは何ですか?askエンド09リバスクラリゼーション①answer

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