これならわかる 少ないバーでできる生活史の支台歯形成法
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8支台歯形成時のポイント:ガイドグルーブの付与,歯髄への影響,平行性Ⅰ 支台歯形成のポイントは3点ある.すなわち,ガイドグルーブの付与,歯髄への影響の考慮,支台歯間の平行性である. 支台歯形成では,①審美性を必要とする補綴,②歯周補綴などのために多数歯間で平行性を必要とする補綴がある.いずれの補綴でも目的に合った削除法を選択したほうが賢明である. 本項では,①審美性を必要とする補綴について解説する.形成の際には新しいバー,もしくは良く切れるバーを使用し,注水下でかつソフトタッチで行う.使い古した切れないバーを使用すると,切削部位以外を間違えて削除してしまう. また,セメントエナメルジャンクション(CEJ)を残すことは切削による歯肉の退縮を遅らせることができるとされているが,切削時に力を入れすぎてしまい,結果として過剰切削を起こしやすい. 支台歯形成のポイントとしては,まずすべての修復物の厚みはガイドグルーブによって決められるため,ガイドグルーブの付与がもっとも重要である. 次に歯髄への影響を考慮することである.とくに下顎前歯部ではガイドグルーブの付与時,歯髄を露出させないためにガイドグルーブの付与を少なくする. 最後は支台歯間の平行性を確保することである.多数の支台歯をアーチ状に形成する時には,臼歯部の近遠心と前歯部の頬側面が平行であれば良いが,そうでない場合は削除しすぎないように注意する.過剰切削をしてしまうと,臼歯部は富士山のような形になり,前歯部では露髄が起きやすいので,平行測定を推奨する(詳細はChapter 02・Part 01参照).ガイドグルーブの付与に使用するバーⅡ 図1-1-1は前歯部,臼歯部に対して審美性が必要とされる形成に使用されるバー類である(表1-1-1参照).支台歯形成でもっとも重要なことは❶❷❸❹❺図1-1-1 形成に使用するバー類(①ラウンドバー,②ニードルバー,③ラウンドエンドテーパードバー,④バーレルバー,⑤ニードルバーショート).01ChapterPart 01基礎編図1-1-1中の番号①②③④⑤作業部長(mm)2.410.07.04.95.9先端径(mm)1.80.51.151.40.4最大径(mm)1.81.61.83.21.0表1-1-1 形成に使用するバー類のデータ.図ア作業部長最大径先端径図1-1-2 ラウンドバー(BC-31:マニー:図1-1-1中①参照).

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