骨補填材料&メンブレンの歴史的変遷と最新トレンド
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カーボン等)、②生体内で吸収され、骨に置換されるもの(リン酸三カルシウム等)、③骨と接触して骨組織と化学的に結合するもの(バイオアクティブガラス、HA等)に分類され、骨補填材料や歯の修復・補綴治療、インプラント治療等、多様な分野で研究開発が進んでいる。◦人工骨の開発天然由来の骨以外では、1961年にPeltier11)が石膏(硫酸カルシウム)を移植したのが最初の報告である。骨補填材料として、従来は金属(ステンレス鋼、コバルトクロム合金、チタン)、ポリマー(シリコン、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート)などが応用されてきた。しかし金属イオンやポリマーの流出、生体親和性の問題などがあり、臨床応用は広がらなかった。生体の骨補填材料に対する組織反応は、外科的処置時の組織損傷に対する反応、生体内の過酷な環境による酸化、加水分解による材料の劣化、繰り返し応力による材料の損傷、疲労、腐食などが挙げられる。セラミックスは生体内における安定性と生体親和性が高いことから、移植材として発展を遂げてきた。最初に研究開発されたバイオセラミックスは1970年代のアルミナ多孔質セラミックス(KlawitterとHulbert)12)、カーボン(Grenobleら)13)、バイオガラス(Henchら)14)で、これ以降、人工材料への期待が高まっていく。◦バイオアクティブガラスCaO-Na2O-SiO2系のガラスと骨が結合することを報告したのは、Henchら(1971年)が最初である14)。Henchらはこのガラスをバイオガラス(bioglass)、骨と結合する材料を生体活性材料(bioactive materials)と名付けた。その後、Brömerら、Vogelらによる組成改良を経て、CeravitalやBioveritなどが開発された。また機械的強度の低いバイオアクティブガラスの弱点を補うべく、1982年小久保ら15)がガラスセラミック同種骨異種骨人工骨1960年以前1970年1980年1990年2000年2010年現在1982年 サンゴ由来HA (Pro Osteon)1986年ウシ由来HA(Bio-Oss)2003年 ウシ由来HA(Cerabone)ブタ由来HA(Zcore) 2015年ウマ由来HA(Equimatrix) 2012年1975年サンゴ由来HA(Interpore200)1960年代海綿動物紅藻サンゴカタツムリヒトデの調査研究1682年イヌ(Meekren)1920年TCPの最初の報告(Albee / Lee)1961年硫酸カルシウム移植報告(Peltier)1968年アルミナ多孔質 セラミックス(Hulbert)1887年母趾趾節骨(Poncet)1975年 DFDBA(Uristら)1976年 FDBA(Mellonig) 表1 DFDBAFDBAサンゴウシウマブタ1975年Ceravital(Brömer)1982年 A-W結晶化ガラス(小久保ら)1983年 Bioverit(Vogalら)1994年セラボーンA-W(日本電気硝子)1971年ガラスと骨の結合発見 bioglass(Henchら)バイオアクティブガラス1976年HAと骨の結合発見(Jacho / Akao) 2013年リフィット(HOYA Technosurgical)2010年ネオボーン(歯科用)(クアーズテック)1985年アパセラム(HOYA Technosurgical)2006年アパセラム-AX(HOYA Technosurgical)2003年ネオボーン(東芝セラミックス)HA1988年 二相セラミックス開発 (LeGerosとDaculsi) 1989年セラタイト(のちにセラフォーム、日本特殊陶業)HA +β-TCP2018年サイトランスグラニュール (ジーシー)2006年炭酸アパタイト(石川ら)1974年カーボン(Grenoble)炭酸アパタイト1976年 α-TCPの水和硬化発見(門間ら)2000年 バイオペックス-R (HOYA Technosurgical)α-TCP1999年オスフェリオン(Olympus)1977年β-TCPの骨結合発見(Grootら)セラソルブ 2012年(Curasan)2014年アローボーンβ-デンタル (ブレーンベース)β-TCP2018年PLATONパールボーン(カタリメディック)1971年TCPの人工骨応用(Bhaskarら)10

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