インプラント YEARBOOK2019
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京セラ株式会社その主応力方向に応じた配向化が促され,さらに継続的な荷重負荷とともに,配向化が進行し高配向化が達成,維持されると期待される. FINESIA®インプラントスレッドデザインの新規性は,埋入初期の非荷重状態で,スレッドデザイン依存性に形成される骨基質配向性と荷重後の主応力方向に沿う骨基質配向性が近似するところである.すなわち埋入初期から荷重支持に適した骨質を創生でき,荷重後もその配向性がシームレスに移行することから,骨質を制御するインプラントデザインとして,インプラント周囲骨の長期的な安定性が期待されている.FINESIA®の特徴①上向き溝型スレッドの採用 超高齢社会を迎えた日本において,今まで以上に生体内で長期に安定し機能するインプラントが求められる時代となった.そこで,荷重に対する骨の配向性を考慮し開発されたのがFINESIA®である.最大の特徴である上向き溝型スレッド(オプティマスレッド)は,骨組織を高骨質,高骨量へと誘導することが実証されている.②インプラントタイプと表面性状の種類 インプラントタイプとしては審美的要求度の高い部位に適したボーンレベルタイプ, ペリオリスクの高い症例や大臼歯部に適したティッシュレベルタイプ, 狭窄部位やシンプルな補綴症例に適した1ピースタイプの3種類のラインアップがあり,条件や用途に応じて選択できるように配慮されている.また,インプラント体形状としてはテーパータイプ(TP)とストレートタイプ(ST)があり,骨の形状などに応じて選択可能となっている.表面性状では従来のPOIシリーズと同様,HAタイプ(ブラスト+HAコーティング)とAOタイプ(ブラスト+陽極酸化処理)の2種類があり,骨質や歯周病のリスクなどにより選択できるように配慮されている.図7a,b 患者は38歳の女性で,初診は2016年9月.₆は保存不可能なう蝕歯であると診断し,抜歯することとした.図8 2017年6月のサイナスフロアエレベーション後4ヵ月の状態.ティッシュレベルインプラント埋入直前.図9a~c 2017年7月,ティッシュレベルインプラント(FTL-HA-42-10ST-25RP)埋入時.骨幅は十分に存在し,初期固定も良好であった(ISQ値72).デンタルX線写真より,歯槽骨頂周囲の骨梁が不鮮明であることがわかる.FINESIA®ティッシュレベルインプラントを用いた症例(図7~13)bbcaa88Clinical Report

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