Digital Dentistry YB2019
2/6

19デジタルがもたらすインプラント補綴ワークフローの変化と将来展望歯科医療へのデジタルテクノロジー(インフォメーションテクノロジー、情報工学、IT)の応用は、歯科用材料の加工を目的とした技術の開発を中心に発展し1、現在では、さまざまな診断ならびに治療法に活用されている。もっとも普及している一例として、口腔インプラント治療の画像診断から埋入手術に至る過程のナビゲーションシステムが挙げられる。本システムは、CTの画像データを活用し、ヴァーチャル空間で埋入手術シミュレーションを行い、手術の際にシミュレーションしたインプラントの三次元的位置をサージカルガイドで再現するステップが一連のパッケージとして構築するまでに発展し、広く普及している(図1)。インプラント治療におけるシミュレーションに使用する画像データは、エックス線CTの画像データと技工用スキャナーから得られた画像データを重ね合わせることで、口腔内の状態と顎骨の状態を合わせて再現することも可能となっている。一方、口腔内の状態を再現するには、従来は印象採得した後に石膏模型を製作し、それを技工用スキャナーで読み込んで画像データを構築するのが一般的であったが、昨今は急激に開発の進んでいる口腔内スキャナーによる光学印象法からの画像データを使用することも可能となりつつある(図2)。光学印象法は、主に作業模型の三次元形状を計測するシステムを中心に発展してきた。計測器いわゆるデスクトップ型スキャナーは、接触法から非接触法へと変遷し、計測速度が飛躍的に向上している2(図3)。デスクトップ型スキャナーの進歩により製作過程の効率化が図られる一方、口腔内を直接計測する新たな印象法として、口腔内スキャナーによる光学印象採得が開発され、作業模型の製作を必要とせずに技工操作を可能とする、補綴装置の新たな製作工程(デジタルワークフロー)も確立されつつある3。1.緒言1.緒言図1a、b シミュレーション診断。CTのデータから立体画像を構築し、PCのモニター上でインプラントの埋入位置を検討する手法は、すでに広く普及している。近年は、ほとんどのソフトウェアに、インプラントの埋入位置だけでなくクラウンも描画できる機能(ヴァーチャルワックスアップ)が付帯している。図2a、b 口腔内スキャナーを用いた光学印象採得。aabb

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る