Digital Dentistry YB2019
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33オールセラミック製ダブルクラウン・アタッチメントの維持力の調整付けられる。コンピュータ支援設計/コンピュータ支援製造(CAD/CAM)技術によって、高強度セラミックスによる内冠の製作が可能となる5。ジルコニアは、この目的のためにすでに確立された生体適合性や耐久性のある審美的な材料である6。ジルコニアの内冠は、滑沢な表面と長期間の耐摩耗性を有する7。ジルコニアの内冠を製作する場合、外冠の製作にエレクトロフォーミングを使用する方法が確立されている6。通常、これらのエレクトロフォーミングされた外冠は、その後、RDPのメタルフレームに結合される。 しかし、このコンセプトにはいくつかの欠点がある。エレクトロフォーミングは侵襲的な支台歯形成を必要とし、製作プロセスに時間と費用がかかる。さらに、天然歯を修復する場合、支台歯にコンポジットベニアを貼り付ける必要があり、審美性を損ない、摩耗が増し、ベニアチッピングのリスクが高くなる8、9。 これらの問題から、ダブルクラウン・アタッチメントを有した修復装置を改善するための開発が始まった。 Groesserら10は、ジルコニア内冠とフルカントゥアジルコニア外冠とを組み合わせる可能性について述べている。コンポジットベニアの使用は不要となり、歯の形成による侵襲性は減少する。別の研究では、歯科技工機器の精度は、ジルコニア製の単一の円錐形のダブルクラウン・アタッチメント(CCs)の製作に十分であることが示されている11。フルジルコニアCCsの長期維持挙動は十分かつ安定していた。 内冠と外冠との間にオクルーザルギャップがあるかぎり、CCsの維持機構は他のアタッチメントシステムとは異なる(図1)。CCsアタッチメントを用いて装着されたRDPを外すために必要な力(ここでは「維持力」Lと記す)は、義歯装着時に加えられる力(ここでは「嵌合力」Fと称する)と 静止摩擦係数μ0によって異なる。内冠と外冠との間にオクルーザルギャップがある場合、嵌合力の大きさによって、このギャップへの内冠の嵌入の程度が決まる。この嵌入が深くなればなるほど、外冠の弾性変形が大きくなり、接触面に沿った圧力が高くなる。これによって最終的に維持力が増大する。古典的な鋳造によるCCsの場合、数十年の経験から、最適な力の比L/F=1/3が確立している12。 しかし過度の嵌合は、歯、歯周組織およびセラミック構造に損傷を与える可能性があり、防止する必要がある。本研究の目的は次のとおりである:1.内冠の理想的な収束角を特定する。この収束角は、以前は3°と推定されていた11。しかし、以前はテーパーが2°を超えるダイアモンドコーティングされたバーは利用できなかったので、この計算結果は実験的調査によって確認する必要がある。2.最大維持力を制御するための方策を検討する。材料と方法オールジルコニアダブルクラウンの製作 形成済みのレジン製犬歯(Frasaco、Tettnang、Germany)をジルコニア(Cerconベース、DeguDent、Hanau、Germany)で16個複製した。これまでの結果11から推定すると、収束角が>2°であればオールジルコニアCCsにとって有利であるという結論に至った。一定収束角が3°および4°の内冠それぞれ8個をジルコニアブロック(Cercon ht、Cercon Brain Xpert、DeguDent)からミリングして焼結した(Cercon heat 外冠オクルーザルギャップ内冠形成された歯図1 内冠と外冠の間にオクルーザルギャップがある円錐型ダブルクラウン・アタッチメントの構造。

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