Digital Dentistry YB2019
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41全部床義歯のデジタル製作の現状:リスクと可能性全部床義歯のデジタル製作の現状:リスクと可能性抄録 全部床義歯を装着した無歯顎患者のリハビリテーションは、いまだ歯科補綴の重要な一面である。 最新のデジタル製造技術は全部床義歯のデジタル製作も可能にする。とくに義歯材料の特性に関して、いくつかの利点がある。加えて、デジタル技術を使うことで新しい治療概念が容易となり、歯科医院への来院回数を減らすことも容易となる。緒言 2016年の第5回ドイツ口腔保健調査(DMS V)1では、前期高齢者(65~74歳まで)の8人に1人(12.4%)が無歯顎であった。1997年ごろまでは24.8%のままであった。このことから、この年代の全部床義歯装着者数は減少したと結論するかもしれない。しかしながら、この減少は伸び続ける寿命のために、治療が必要な患者数が増加することによって相殺される2、3。2001年という早い時期にドイツ補綴歯科学会(DGZPW)4によって出された、2020年までの歯科補綴治療の需要を予測するよう委嘱されたレポートでは、この展開が確証されていた。同じような展開は米国でも予測されていた。 2020年には全部床義歯の需要は年間3790万人に増加すると予測されている5。1991年では、3550万人の予測だった。人口統計学の傾向-ベビーブーム世代-は、この需要をさらに後押しする。近代歯科と予防法の発展が高齢になるまで無歯顎化を遅らせたのは事実である。しかしながら、全部床義歯の需要は歯科医師および歯科技工士へのさらなる課題となるだろう。全部床義歯を新たに製作するには、かなりの時間を要し、高齢者の来院頻度には制限があるため、製作の必要のある現状の義歯を修理し、リペアし、リラインすることがしばしば行われる。こうした症例において、新しい治療概念とコンビネーションしたデジタルテクノロジーを使うことによって、来院数を減らし、治療の予知性を高め、高齢者へより大きな恩恵を与えることができる。J. Schweiger*1, J. Stumbaum*2, D. Edelho*3, J-F. Güth*4*1ZTM Josef Schweiger*2Dr. Juliane Stumbaum*3Prof. Dr. med. dent. Daniel Edelho*4Priv.-Doz. Dr. med. dent. Jan-Frederik Güth*1-4Department of Prosthodontics, Ludwig Maximilian University, Munich, Germany<翻訳>池田祐子/宮﨑 隆(昭和大学歯学部歯科保存学講座歯科理工学教室)キーワード:CAD/CAM、高機能ポリマー、付加重合、仮想ろう義歯試適、革新的治療概念、全部床義歯、デジタルデンティストリー

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