矯正歯科治療ガイドブック
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152モチベーションの維持、向上に努めるう蝕や歯肉炎を引き起こす清掃不足を防ぐ矯正歯科治療期間と脱灰の発現頻度との間には正の相関があり、特に治療期間が2年を過ぎるとリスクが高まるとされている*1。これは、酸産生能の高い細菌へと細菌叢が変化すること、カルシウムやリンのイオン濃度が低下することが原因であると報告されている*2。また、固定式矯正装置は口腔内環境に与える影響が大きく、同装置を装着した者は装動的治療開始後、一般歯科ができるケアとは◦ 矯正歯科装置周辺のブラッシング方法と使用器具特にエッジワイズ装置は清掃性が悪い。ブラケットを境に、❶ ブラケットの切端側❷ ブラケットの唇側中央部❸ ブラケットの歯頸部側❹ 歯頸部・歯肉の4つのブロックに分けてブラッシングを行う。ブラケットの上を磨いているだけでは歯面に歯ブラシの毛先が届かないため、右のように清掃器具を使い分けよう。また手用歯ブラシの代わりとして、超音波歯ブラシも清掃効果が高い。*1 GeigerAM,GorelickL,GwinnettAJ,GriswoldPG.Theeectofauorideprogramonwhitespotformationduringorthodontictreatment.AmJOrthodDentofacialOrthop1988;93(1):29-37.*2 ChatterjeeR,KleinbergI.Eectoforthodonticbandplacementonthechemicalcompositionofhumanincisortoothplaque.ArchOralBiol1979;24(2):97-100.*3 GorelickL,GeigerAM,GwinnettAJ.Incidenceofwhitespotformationafterbondingandbanding.AmJOrthod1982;81(2):93-98.*4 BoydRL,BaumrindS.Periodontalconsiderationsintheuseofbondsorbandsonmolarsinadolescentsandadults.AngleOrthod1992;62(2):117-126.毛先が届かない!❶❷❸❹ブラケットとワイヤー、ワイヤーと歯面の間、歯の隣接部= ワンタフトブラシで磨く 毛先を使って、汚れをかき出すように磨く。写真の商品は毛の長さが10.5mmと一般の商品より長く、ブラケット周辺の狭いエリアにも毛先を入り込ませることができる。〔EX onetuft systema、ライオン〕ブラケットの上下 = 歯ブラシで磨く歯ブラシの毛が軟らかすぎると汚れが落ちにくいため、「ふつう」を選択する。写真のように山型で毛束が3列、ヘッドが小さい製品は臼歯部が磨きやすい。磨く際は、横方向に細かく動かすようにする。〔INTER BRACE、オーラルケア〕

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