矯正歯科治療ガイドブック
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1539| 動的治療開始~終了時までのケア着しない者に比べ、う蝕に罹患するリスクが3倍になるとされる*3。装置装着によって口腔内が清掃しにくい環境になるだけでなく、バンドを大臼歯に装着すると、その周辺で口腔内常在菌の球菌が減少し、歯周疾患を引き起こすスピロヘータや運動性の桿菌が増加する。そのためバンドを装着した大臼歯のプラーク指数や歯肉炎指数、歯周ポケット深さ、アタッチメントロスは、バンドを装着しない大臼歯より高い値を示す*4。またバンドのマージンを歯肉溝内に入れることによってプラークが歯肉縁下に付着しやすくなり、口腔内環境がさらに悪化する*5。対策として、十分なブラッシング指導を行う、治療期間を長引かせない、患者のモチベーションを高める、バンドを使用しないなど清掃性が高い装置の設計を行う、といったことが考えられる*6、7。*5 EricssonI,ThilanderB,LindheJ,OkamotoH.Theeectoforthodontictiltingmovementsontheperiodontaltissuesofinfectedandnon-infecteddentitionsindogs.JClinPeriodontol1977;4(4):278-293.*6 伊藤公一,保田好隆(編著).歯周-矯正治療STOP&GO成人矯正を成功させるためのクリニカルポイント.東京:クインテッセンス出版,2012.*7 高田健治(監修),保田好隆,日高修(著).矯正歯科治療とオーラルハイジーンコントロール.東京:クインテッセンス出版,2000.❸ブラケットの歯頸部側:歯ブラシの毛先を歯頸部側からブラケットに対し45°の角度に当て、少し毛先を突っ込むようにして小さく横方向に動かして磨く。ブラケットとワイヤーの間:タフトブラシの毛先を突っ込み、汚れをかき出すように動かす。❹歯頸部:歯ブラシの毛先を切端側から歯肉に対し45°の角度で当て、小さく横方向に動かして歯頸部や歯肉溝、歯肉を磨く。❶ブラケットの切端側:歯ブラシの毛先を切端側(咬合面側)からブラケットに対し45°の角度で当て、小さく横方向に動かして磨く。毛先を当てたままヘッドを起こすようにして角度を変えつつ、細かい動きで磨き続ける。❷ブラケットの中央:歯ブラシの毛先をブラケットの唇側に対し垂直に当て、小さく横方向に動かして磨く。

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