SAFE Troubleshooting Guid Volume 4
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巻頭特別企画デジタルワークフローで生じる口腔内スキャナー(IOS)とCBCTのトラブルに関する文献レビューター断層撮影法(cone beam computed tomogra-phy:CBCT)についても、問題点やトラブルについて文献的に解説していこうと思う。2 IOSとCBCTはインプラント治療のどの段階で使用され、いつ問題(トラブル)が生じるのか 図1に示すように、IOSとCBCTは主として、診査/診断/治療計画の立案、サージカルガイドの製作、ならびにインプラント補綴で使用され、この際に種々の問題(トラブル)が起こると考えられる(図1)。 “intraoral scanner” と “implant”のキーワード検索によりPubMedから導き出される論文(両者の単語を含んでいる論文)は2011年が最初のようであり、インプラント治療のIOSに関する科学的根拠は、わずかに7年前から報告され始めたに過ぎない2)。したがって、治療上のトラブルに関する論文はほとんど認められず、どちらかといえば問題点を抽出する段階であると判断できる。一方、デジタルワークフローの中におけるCBCTに関しては、1 はじめに 歯科インプラント治療は、失われた歯や歯列を回復して咀嚼障害や審美障害を改善できる、予知性の高い治療術式であることが多くの論文で示されている。その反面、外科的合併症、生物学的合併症や機械的(技術的)合併症のような種々のトラブルから逃れられない治療術式であり、長い年月を経て、合併症の内訳やその発現頻度が明らかにされている。 一方、デジタルデンティストリー(digital dentist-ry)は、著者らが調べる限り1999年にPubMedにはじめて登場した専門用語であるようだ1)が、今や治療計画からインプラント補綴装置の製作に至るまで、歯科インプラント治療の多くのステップに欠かせない存在となっている。デジタルデンティストリーには多くの期待が寄せられている一方で、発展途上の学問であることから未解決の問題やトラブルを抱えているのが現状である。 そこで本稿では、デジタルデンティストリーの一端を担う口腔内スキャナー(intraoral scanner:IOS)に焦点を当てるとともに、コーンビームコンピュー澤瀬 隆 Sawase Takashi長崎大学生命医科学域 口腔インプラント学分野 教授黒嶋伸一郎 Kuroshima Shinichiro長崎大学生命医科学域 口腔インプラント学分野 准教授SAFE(Sharing All Failed Experiences) Troubleshooting Guide Volume4 補綴・技工的合併症編20

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