トラブル事例に学ぶ歯科訪問診療
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言語聴覚士が動揺歯を抜いてもらうよう患者さんに指示していた!keyword多職種連携10トラブル事例患者:77歳/女性/要介護5主訴:前歯が抜けそう傷病名:認知症、身障1級(四肢体幹機能障害)特記事項:右大腿部頚部骨折、胃ろう、開口維持不可、寝たきり(寝返り不可)、含嗽不可、嚥下反射なし訪問先:在宅トラブル発生状況言語聴覚士が吸引するために、動揺している歯を抜いてもらうように患者さんに指示しました。患者さんは抜歯を望んでおらず、口腔内のケアで様子をみている歯でした。多職種が専門性を主張しすぎて、患者さんが混乱してしまいました。解説:高田晴彦 訪問初診時に問題点を整理し、処置計画をビジュアルで示し、関係者(多職種)に配布します(15、18ページ参照)。そのうえで歯科処置への要望がないかを確認しておくことです。 口腔内の問題を指摘し計画を立てるのは、歯科医師の仕事のはずです。そのうえで介護上、生活支援上の要望を加味して最終治療計画を立ててください。時には何も手をつけられない場合もあります。 右ページに示す症例は、当院ではケアしかできないケースです。重度歯周炎で口腔内状態は悪く、歯の動揺、疼痛もひどいため抜歯が必要ではあるものの、全身的な治療を行っているため、全身管理下での外科処置が求められます。抜歯について医科主治医に照会後、地域支援病院に抜歯の依頼をしました。未然に防ぐために46困ったぞ! こうなりたくない! トラブル事例に学ぶ歯科訪問診療訪問前訪問中訪問後

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