プリアジャステッドアプライアンスの治療とモニタリング
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第三の研究: 120例の最適な咬合を観察して,大臼歯の咬合関係,歯冠の傾斜,歯冠のトルク,捻転がない,空隙がない,平坦な咬合平面の特徴を明らかにし「最適な咬合の6つの鍵」2)とした(表2-2-1).そしてこれらの特徴は,矯正歯科治療の歯の排列目標となり,これら6つの鍵は相互に作用する関係をもつことがわかった. さらに最適な咬合では,各歯冠の咬合面側と歯肉側を等しく分け横断する面を連ねた上下それぞれの平面は,平行になると仮説し,Andrews プレーンと定義した3)(図2-2-2).こうして臨床歯冠軸の中点が認識された.KeyⅠ 上下顎大臼歯の咬合関係上顎第一大臼歯の近心頬側咬頭が下顎第一大臼歯の近心頬側咬頭と第二咬頭との間の頰面溝と一致する.上顎第一大臼歯の遠心頬側咬頭は下顎第二大臼歯の近心頬側咬頭と接触する.KeyⅡ 歯冠のアンギュレーション歯冠の唇頬側面長軸の歯肉側部は,切縁部もしくは咬合面部に対して遠心に位置している.KeyⅢ 歯冠のインクリネーション歯冠唇頬側面の長軸の唇舌的,頰舌的傾きを示す.上顎前歯の唇側面の長軸は唇側に傾き,下顎前歯でわずかに舌側に傾斜している.上顎の後方歯の頬側面長軸は舌側に傾き,犬歯・小臼歯が同じ程度,大臼歯でわずかに傾きを増す.KeyⅣ ローテーション捻転がみられない.KeyⅤ 空隙がなく緊密な歯冠接触歯間に空隙がなく緊密に接触している.KeyⅥ スピー湾曲咬合平面は平坦もしくはわずかに湾曲している.表2-2-1 Andrewsの最適な咬合の6つの鍵Andrewsの5つの研究課題図2-2-1 1965~1975,1985年フルプログラム化された矯正装置の必要性.治療後,ほとんどで6つの鍵を満たしていなかった.矯正歯科医で治療結果に特徴があった. FA ポイントの発見歯の位置,形態,唇頰側面の膨隆に一貫性があった.最適な咬合120例の歯冠計測自然に生じた最適な咬合と矯正歯科治療後の咬合の比較1988年まで自然に生じた最適な咬合を示す口腔模型を収集し120例を精選.自然に生じた最適な咬合の収集最適な咬合のための6つの鍵の発見矯正歯科治療後の咬合の分析・評価1960年に開始治療ゴールは自然に生じた最適な咬合にみられるという仮説を生む.1965年 最適な咬合に6つの特徴があり,これらが治療ゴールと確信.最適な咬合のティップ,トルク,歯冠唇頰側面の形態をブラケットに組み入れ可能とわかった.292-2 AndrewsのイノベーションChapter3プリアジャステッドアプライアンスの基本Chapter4診断と治療計画Chapter5治療を管理するChapter2プリアジャステッドアプライアンスを理解するChapter1わたしの考え方

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