口腔外科ハンドマニュアル’19
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Section1ビギナー&ミドルのための必修 ベーシックテクニックChapter1-1VISUAL SEMINAR : BASIC DENTAL AND ORAL SURGERYリムーバーでの撤去が難しくなる.またスクリューは1回使用の使い捨てパーツである. なお,以下のような症例の場合,この簡便な撤去用キットは使用できない.・除去不能なアバットメントスクリューの破折:リムーバースクリューの装着不能・インプラント体の内ねじの変形や破損:リムーバースクリューの固定不能・インプラント体の破折によるプラットホームの破壊:リムーバーの使用不能・インプラント体の径とリムーバーの径の不一致:リムーバーの装着不能[3]トレフィンバーにより周囲骨とともに撤去(図12参照) インプラント除去用キットを使用できない症例に適応する.インプラント周囲の一層の骨とともにインプラント体をくりぬくように撤去する方法である.除去用キットと比較して患者への侵襲は大きい.[4]ラウンドバーあるいは超音波切削器具での掘削による撤去 骨結合が維持されているインプラントの撤去症例の多くは,除去用キットあるいはトレフィンバーの使用により除去が可能である.しかし,シリンダータイプ以外のインプラントの撤去,リムーバーキットの最大トルク値を超えた場合の周囲骨の削除あるいは,下顎管や上顎洞近傍の骨結合を取り去る場合の精密な骨削除等には,ラウンドバーや超音波切削器具(ピエゾエレクトリックデバイス)が適応となる.特殊な症例に対するインプラント撤去[1]頬側皮質骨除去・下歯槽神経掘り出し術(図16) この方法の適応症は,下顎管をインプラントが完全に貫き,さらに骨結合が完了しており,神経麻痺が高度で,治療として神経縫合や神経移植が必要であると考えられる症例である.除去用キット,トレフィンバー,ラウンドバー等を使用して撤去するこ図16a〜g 頬側皮質骨を除去し,下歯槽神経掘り出し術を行った症例.重篤な下歯槽神経麻痺(完全脱失)を主訴として来院(患側:2PD 測定不能.S-W:4.93Fmg以上).埋入4か月後に当科来院.インプラント体は完全に骨結合が完了していた.a〜c:遠心部インプラントは完全に下顎管を貫き,近心部インプラントは下顎管に接触.d:頬側皮質骨をいったん除去し下顎管を掘り出して,貫通しているインプラント体を確認.e:インプラント体を頬側に倒し,神経を傷つけないように撤去.f,g:周囲の瘢痕組織を除去し,神経切断部を露出(f).神経縫合により再建(g).dfeabcg62

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